文献詳細
文献概要
今月の主題 子宮頸癌の予防と検査 話題
ピア・エデュケーション(仲間教育)の試み
著者: 吉田朋美1 福田利夫1
所属機関: 1群馬大学大学院保健学研究科生体情報検査科学分野
ページ範囲:P.1449 - P.1452
文献購入ページに移動“ピア・エデュケーション(仲間教育)”という言葉は,わが国において,いまだ聞き慣れない言葉なのではないだろうか.実際,私も数年前まで触れることのなかった言葉であるし,現時点で,保健学系の学生に対して,この言葉を使っても認知度は低い.しかし実際に学生に対してこのピア・エデュケーション手法を用いた啓蒙を行うと,彼らに対して大きなインパクトを与えることがわかってきた.性感染症,癌,検診など,これらのキーワードを全く身近に感じていない若者を相手に話をするとき,聞く側の若者が心を閉じることなく開いたまま聞いており,心のどこかで共感していること,これが“啓蒙”を行う側の理念として,一番大事だと思われる.
そもそもピア・エデュケーションの原点は,アリストテレスまでさかのぼるとする考えもあり,長い歴史をもっている.すでに欧米では,1980年代から90年代にかけて,若者の喫煙や薬物乱用に対してのピア・エデュケーションを用いたヘルスプロモーションが効果を示したという論文が多数出されている.また1991年には,HIV(human immunodeficiency virus)予防教育としてピア・エデュケーションの国際的な実情がWHOによって報告され,1993年には若者に対するHIV予防教育の評価を行うプロジェクトがマンチェスター大学内に立ち上げられた.
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