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緊急連載/東日本大震災と検査【最終回】
静脈血栓塞栓症
著者: 榛沢和彦1
所属機関: 1新潟大学医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻器官制御医学
ページ範囲:P.1464 - P.1469
文献購入ページに移動はじめに
災害医療について臨床検査技師,臨床放射線技師(両方合わせて検査技師と呼ばせていただく)の方達から,「何をすればよいのかわからない,自分たちだけでは何もできない」という声を聞くことがある.しかし検査技師という立場は医師と患者または看護師と患者の間,さらに看護師と医師との間をとりもつ(検査情報も含めて)重要な位置にあることを再認識していただきたい.それから言うまでもなく医療はチームで行うものであって,医師だけでは何もできない.看護師や検査技師とチームになって初めて可能になる.それは災害医療も同じである.非常事態こそ,こうした連携が重要になるし,医師は検査技師に期待していることを理解していただきたい.そして一度でよいから,震災直後でなくてもよいので,災害医療ボランティアを経験してもらいたい.そうすると色々と見えてくるものがあり,きっと「何をすればよいのかわからない」という声はなくなるに違いない.
本稿は様々な医師,検査技師,看護師達と一緒に行ってきた災害医療活動の報告である.この中から何をすべきかを探ってもらえればと思う.リーダーシップは医師がもつべきという考えもあるかもしれない.しかし以下に述べる検診において検査技師がリーダーシップをとって行っていたものも少なくない.本稿ではまずこれまでの震災における深部静脈血栓症(deep venous thrombosis;DVT)検査結果などについて述べ,最後に東日本大震災のDVTについて述べる.
災害医療について臨床検査技師,臨床放射線技師(両方合わせて検査技師と呼ばせていただく)の方達から,「何をすればよいのかわからない,自分たちだけでは何もできない」という声を聞くことがある.しかし検査技師という立場は医師と患者または看護師と患者の間,さらに看護師と医師との間をとりもつ(検査情報も含めて)重要な位置にあることを再認識していただきたい.それから言うまでもなく医療はチームで行うものであって,医師だけでは何もできない.看護師や検査技師とチームになって初めて可能になる.それは災害医療も同じである.非常事態こそ,こうした連携が重要になるし,医師は検査技師に期待していることを理解していただきたい.そして一度でよいから,震災直後でなくてもよいので,災害医療ボランティアを経験してもらいたい.そうすると色々と見えてくるものがあり,きっと「何をすればよいのかわからない」という声はなくなるに違いない.
本稿は様々な医師,検査技師,看護師達と一緒に行ってきた災害医療活動の報告である.この中から何をすべきかを探ってもらえればと思う.リーダーシップは医師がもつべきという考えもあるかもしれない.しかし以下に述べる検診において検査技師がリーダーシップをとって行っていたものも少なくない.本稿ではまずこれまでの震災における深部静脈血栓症(deep venous thrombosis;DVT)検査結果などについて述べ,最後に東日本大震災のDVTについて述べる.
参考文献
1) 榛沢和彦:中越地震における車中泊者の肺・静脈血栓塞栓症の危険性について―車中泊者のエコー診療から.Ther Res 26:1207-1212,2005
2) 榛沢和彦,林純一,土田桂蔵,他:新潟県中越地震における静脈血栓塞栓症―慢性期の問題.Ther Res 27:982-986,2006
3) 榛沢和彦,林純一,田辺直仁,他:新潟県中越地震被災地における深部静脈血栓症―対照地域検査との比較 Ther Res 28:1126-1128,2007
4) 榛沢和彦,岡本竹司,佐藤浩一,他:中越沖地震におけるDVT頻度.Ther Res 29:641-643,2008
5) 榛沢和彦,岡本竹司,佐藤浩一,他:岩手・宮城内陸地震のDVT頻度:避難環境との関連 Ther Res 30:572-574,2009
6) Simpson K : Shelter deaths from pulmonary embolism. Lancet 236:744,1940
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