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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査55巻3号

2011年03月発行

雑誌目次

今月の主題 更年期医療

巻頭言

女性のライフサイクルにおける更年期医療の意義

水沼 英樹

pp.219-220

 閉経を挟む前後の約10年間を更年期と定義している.したがって,更年期医療という用語は更年期において発症する症状や疾患を取り扱う医療と言えるが,最近では更年期以降に発症する疾患を治療対象にしており,またその対象疾患も精神疾患から身体疾患に至るまでと,極めて広範囲にわたる医療を意味している.このため,更年期医療の対象疾患も多彩であり,そのための問題も少なくない.例えば更年期障害は更年期の代表的な疾患であるにもかかわらず,症状の程度が患者の主観に左右されるために定量性に乏しく,さらにはその定義においてすら患者側と医療者側,さらには医療者間でもしばしばその解釈が異なるなどである.一方,更年期には卵巣機能の低下と廃絶がみられるため,女性ホルモン,特にエストロゲンの低下や欠乏に起因する様々な臓器や組織の機能低下がみられることが明らかにされてきた.そこで,更年期医療もエストロゲン欠乏の観点から評価することが求められ,その結果,現在では更年期医療はエストロゲン欠落に基づく急性症状,エストロゲン欠落の慢性症状もしくは疾患およびそれ以外の症状(疾患)とに区別して理解され,取り扱われている.

 さて,エストロゲン欠乏の急性症状の代表疾患は前述の更年期障害である.これには症状を説明できる明らかな器質的異常を伴わない,いわゆる不定愁訴として認識されていたものも含まれる.不定愁訴には,うつやいらいらなどの精神症状から,頭痛,めまい,動悸,あるいは食欲低下など脳疾患,循環器疾患,消化器疾患など,時に生命予後を左右する疾患の存在によって発症する症状も多数含まれるために,更年期障害の診断には鑑別診断,除外診断が必須である.そのためには複数の検査法の導入が必要となるが,いかにして簡便かつ効率的な検査法を選択し応用できるかが,確実な診断を行ううえでの鍵となる.

総論

更年期のホルモン変化に基づく疾患と病態

髙松 潔 , 小川 真里子

pp.221-231

加齢に伴う月経の永久停止を閉経といい,閉経を中心とした生殖期から老年期への移行期を更年期と呼ぶ.閉経年齢の中央値は50.54歳であり,閉経の前後5年,計10年間が更年期と定義されていることから,更年期はおおよそ40~60歳ぐらいが相当すると考えられる.この時期には,卵巣におけるエストロゲン分泌低下とフィードバック感受性の低下によるLH,FSHの上昇が起こり,閉経後にはエストロゲンは活性として閉経前の約1/10以下となる.これに伴い,いわゆる各種退行期疾患・病態が発症・顕在化する.特に更年期障害,脂質異常症,骨粗鬆症は更年期の三大疾患・病態と呼ばれ,QOL低下や死亡に直接的・間接的に影響することから,更年期以降の対応が重要視されている.

更年期医療における検査と手順

高橋 一広 , 漆山 敬子 , 倉智 博久

pp.232-239

更年期症状を主訴として来院する患者の特徴として“訴え”が多いことが挙げられる.“訴え”の背景に精神的ストレスが起因している場合も多いため,十分な問診が必要である.婦人科癌検診,乳癌検診を経時的に行うとともに,更年期以後は,更年期障害だけでなく,脂質異常症,糖代謝異常,高血圧症,骨粗鬆症など内科的疾患も増加してくるため,婦人科的アプローチだけでなく,総合的な診療を心がけることが重要である.

更年期における女性の加齢と検査値の評価

深井 志保 , 秋下 雅弘

pp.240-246

閉経に伴う女性ホルモンの低下は,更年期以降の脂質異常症や動脈硬化の急速な進展をもたらし,認知症,骨粗鬆症,骨折,心血管疾患の発症リスクは男性よりも高くなる.加齢や閉経は検査値に影響を与えるため,若年女性と閉経後女性では検査値の意義が異なる.閉経後女性の検査値を評価するうえでは,加齢による生理的変化なのか,病的な値なのかを判断することが重要である.また,閉経後女性の診療に当たっては,疾患の発症のみならず,臓器の生理機能,検査値に男性との違いを念頭に置く必要がある.

各論

更年期における骨量減少症・骨粗鬆症の検査

岩元 一朗 , 堂地 勉

pp.247-254

原発性骨粗鬆症の検査には,診断のための検査として脊椎のレントゲンと骨密度測定があり,また,続発性骨粗鬆症の鑑別診断としての検査や,骨代謝を評価するための骨代謝マーカーの測定などがある.骨密度測定は原則として腰椎骨密度で評価するが,骨折などで評価できない場合は大腿骨頸部やそのほかの末梢骨でもよい.鑑別診断には詳細な問診や身体所見のほか,血清カルシウムやリン,ALP(alkaline phosphatase)などの測定が役に立つ.骨吸収が亢進しているときには,ビスホスホネートなどの骨吸収抑制剤のよい適応となる.またその後の治療効果判定や薬剤変更などにも骨代謝マーカーが参考になる.閉経後は骨代謝が亢進するが,骨吸収優位のため骨密度は減少していく.

更年期における脂質関連検査

若槻 明彦

pp.255-260

閉経後のエストロゲン低下はLDL粒子や中性脂肪(TG)を増加させる.TG上昇はLDLを酸化されやすい小型粒子に変化させ,心血管疾患のリスクとなる.このため閉経前後での脂質検査が望まれるが,TGは食事で影響されるため,脂質採血の際には12時間以上の絶食が必要となる.動脈硬化学会により脂質異常症の診断基準が設定されている.軽度から中等度の高LDL血症を治療するべきか否かについては議論があったが,最近報告された大規模臨床試験で介入の必要性が確認された.ホルモン補充療法(HRT)は脂質代謝改善効果をはじめとする抗動脈硬化作用を有するが,投与ルートや投与量でその効果は異なることが示されている.

更年期における動脈硬化の早期診断

岡野 浩哉

pp.261-266

世界的には,更年期医療とは更年期に限った疾病の管理ではなく,更年期から始まるあらゆる退行期疾患を対象としている.特に病態形成に女性ホルモンが関与している疾患であればなおさらである.加齢に従い動脈硬化は確実に進行するが,エストロゲンはその進展を抑制し,閉経は促進的に働くことが知られている.その転換期が更年期に一致するため,動脈硬化は更年期医療の主軸の1つと言える.更年期医療の範疇として,動脈硬化リスク因子の評価,除去や改善は可能である.また,非侵襲的な動脈硬化評価法も多数存在する現在,それら手法を積極的に取り入れ,早期診断の一助とし女性の健康をトータルに支援すべきである.

更年期における婦人科細胞診

小松 京子 , 市川 美雄 , 山本 阿紀子

pp.267-271

婦人科細胞診は,子宮癌の診断には必須の検査であり,その簡便性から婦人科外来において広く行われている.しかし更年期以降は女性ホルモンの減少とともに子宮・腟に炎症が起こりやすくなり,核の濃縮や萎縮といった細胞像の変化が現れ,時に悪性腫瘍との鑑別が難しい場合がある.本稿では,細胞診が子宮癌の早期発見に役立ち死亡率の減少に貢献している現状を踏まえ,更年期以降の特徴的細胞像を示すとともに,その診断上の問題点についてまとめる.

更年期における乳腺の画像検査

多田 寛 , 石田 孝宣 , 甘利 正和 , 河合 賢朗 , 大内 憲明

pp.272-276

更年期は日本の乳癌発症年齢のピークに相当し,乳癌検診の重要なターゲットとなっている.更年期,特に乳腺の濃度が高い40歳代に関しては,デジタルマンモグラフィや超音波検査を用いた乳癌検診が期待されている.更年期障害と乳癌発症に関しては明らかな関連はないが,ホルモン補充療法と乳癌に関してはいくつかの報告がなされている.更年期女性の典型的な乳腺画像を理解したうえで,不必要な精密検査を行うことなく,精度の高い検診を行っていくことが必要である.

話題

更年期指数と心理テスト

赤松 達也

pp.277-280

1 . 更年期指数

 1) 多岐にわたる更年期症状

 更年期女性の愁訴は多岐にわたり,その重症度も各人様々である.愁訴によっては,思春期より老年期に至るまでみられるものもある.一般に更年期に出現した愁訴の原因としてほかに器質的疾患が認められなければ,更年期障害と診断される.

 しかし,更年期障害の診断基準は目下のところ明確でなく,性格や心理的要因,または本人を取り巻く環境などの社会的要因などの影響も大きい.Hot Flashなど卵巣機能の低下を起因とする症状のほかに,客観的にその病態を捉えにくいものも多い.したがって更年期障害の診断に際しては,身体面に関する検索とともに心理的な評価が極めて重要であり,婦人科疾患の中で更年期指数や心理テストが用いられ,また有用である.

更年期に現れやすい口腔疾患とその検査

伊藤 加代子

pp.281-283

1 . 更年期に現れやすい口腔疾患

 更年期世代によくみられる口腔の疾患には,口腔乾燥症,味覚障害,舌痛症,顎関節症,歯周疾患などが挙げられる.実際,女性専門外来の医師にアンケート調査を行ったところ,“口が渇く”“味がおかしい”“舌が痛い”“顎が痛い”などの愁訴が多くみられた(図1)1).これらの症状が,女性ホルモンの減少そのものによって引き起こされているのか,あるいは閉経に伴うストレスが原因となっているのかは,よくわかっていない.

 前述のアンケート調査によると,女性専門外来においては,口腔に関する愁訴をカルテに記載するのみで,歯科への紹介には至らないケースもあることが明らかになった.しかし,適切な検査を行って加療することで,口腔の症状が緩解するばかりでなく,更年期症状そのものが軽減する可能性がある.

 本稿では,更年期世代の女性に現れやすい口腔疾患とその検査方法について概説する.

更年期障害の治療

寺内 公一 , 久保田 俊郎

pp.285-288

1 . はじめに

 更年期障害は,(1)加齢,卵巣性ステロイドの減少,脳下垂体の失調などの身体的因子,(2)性格的素因などの心理的因子,(3)夫・子との関係,職場の人間関係,実父母・義父母の介護などの社会的因子が,相互に影響しつつ大きなストレッサーとなって1人の女性を覆ったときに,①ほてり,発汗,関節痛などの身体症状,②疲労感,頭痛,動悸などの心身症状,③いらいら,抑うつ,不眠などの精神症状を多種多様に呈し,その女性の日常生活に支障をきたす一種のストレス性疾患として理解される.したがって,更年期障害の包括的な治療には心身医療的な視点が重要となる(表).

閉経後女性のための「ホルモン補充療法ガイドライン」

牧田 和也

pp.289-292

1 . はじめに

 ホルモン補充療法(hormone replacement therapy;HRT)は,更年期に認められる加齢に伴う卵巣機能の低下や婦人科疾患の治療としての(両側)卵巣摘出に起因するエストロゲン欠乏によって引き起こされる,諸症状・疾患の予防ないし治療を目的として施行される治療法である.欧米ではすでに1960年代より普及していたが,本邦においても1990年代初頭より本格的に導入され,今日に至っている.

 しかしながら,2002年に米国NIH(National Institute of Health)が企画したWHI(Women's Health Initiative)Randomized Control Trialに対する中間報告1)が公表されて以降,HRTに対する副作用やリスクにばかり関心が集まり,その普及率はもともと欧米と比較して低い状況にあったが,それに追い討ちを掛けて低迷したままである.このような状況を打開すべく,2009年に日本産科婦人科学会・日本更年期医学会(編集/監修)による「ホルモン補充療法ガイドライン2009年度版」2)が刊行されるに至った.

 そこで本稿では,本ガイドラインの作成にかかわった1人として,その刊行までの経緯とその概要について解説してみたい.

更年期におけるホルモン補充療法に必要な検査

安井 敏之 , 松井 寿美佳 , 山本 哲史

pp.293-297

1 . はじめに

 ホルモン補充療法(hormone replacement therapy;HRT)ガイドライン1)では,HRTを施行する前ならびに施行中,図1のような管理指針にしたがって諸検査を行うことが示されている.ここでは主な検査項目について,なぜこれらの検査が必要かということを示しながら概説する.

卵巣の加齢とAnti-Müllerian hormone

林 伸旨 , 羽原 俊宏

pp.298-301

1 . はじめに

 原始性腺は睾丸および卵巣のいずれにも分化する可能性をもっているが,Y染色体によって睾丸,X染色体によって卵巣へと分化する.胎生7週には導管の原基が生じ,そのうちミュラー管からは子宮,卵巣が,Wolf管からは副睾丸,輸精管,精囊などが生じる.胎生12週頃になると導管の分化が完成し,分化しなかった反対側の導管の退縮が起こる.

 Alfred Jostによると,この分化には胎児の睾丸から分泌されるアンドロゲンが主要な役割を演じてWolf管を分化させるとともに,ミュラー管抑制因子がSertori細胞から分泌されてミュラー管を退縮させると言われている.ヒトにおける抗ミュラー管ホルモン(Anti-Müllerian hormone;AMH)の遺伝子は1986年に分離,同定された1)

今月の表紙 代表的疾患のマクロ・ミクロ像 非腫瘍・3

心筋炎のマクロ・ミクロ像

小松 明男 , 坂本 穆彦

pp.216-218

 心筋炎には,全身疾患の症状の一部として起こるものと,心筋の炎症が疾患の本態をなすものとがある.ここでは主として,後者について述べる.心筋炎の発生頻度および病的意義については必ずしも明確ではない.その理由は,第一に何ら臨床症状も徴候も示さない可能性が高いこと,第二に病原体の同定が困難であることと思われる.

 この問題について広く受け入れられている見解は,以下のとおりである.剖検例の1~9%にみられ,原則として無症状である1).すなわち,大部分は自然治癒する可能性の高い疾患である.しかし,臨床症状を呈するものが少数あり,確定診断がついた場合に後遺症を残さないものは約40%2),また5年生存率は50~60%である3).さらに,臨床症状を呈するか否かにかかわらず,心筋炎から拡張型心筋症へと移行していくのではないかと推定されている4).また,40歳未満の突然死の20%は心筋炎とも考えられている1).心筋炎の原因としては,大部分はコクサッキーBに代表されるウイルスと推定されているが,血中からは,おそらく4日前後で消え,抗体価の上昇までは約2週間が見込まれ,心筋生検からのウイルスのゲノムの検出は約20%である1)

映画に学ぶ疾患・13

「希望のちから」に見る新薬開発の難しさ

安東 由喜雄

pp.284

 最近,ある週刊誌に,作家,伊集院静氏が,妻であった夏目雅子の白血病との戦いの日々を手記にまとめたものが掲載されていた.妻子のいた彼と夏目雅子との出会い,結婚に至る道のり,楽しかった束の間の新婚の日々,急性骨髄性白血病の発症から闘病に流れた時間の重さ,そして運命の1985年のXデーに至るまで冷静に当時を振り返りながら,いまだに残る喪失感を淡々と書き込んでいた.夏目雅子は,最初はもち前の明るさと人を信じる育ちの良さで難局を乗り切っていたが,何回も強力な抗癌剤治療を受け,臓器が痛み,髪が抜け始めると,軽快しない病状の中で焦燥感を募らせるようになる.そんな中で,伊集院氏は,アメリカで白血病の新たな治療法が開発されつつあることを知る.すぐにでもその治療に飛びつきたいと思ったが,結局,妻の病状と治療の危険性を天秤にかけ,この治療を受ける決断ができないまま,時が流れ彼女は旅立つことになる.“あのときなぜ妻に最新の,最善の治療を受けさせなかったのか”と今でも悩むという内容が記されていた.“結局,彼女を死に追いやったのは自分ではなかったのか,もっとしっかり彼女を守ってやれば,死なずにすんだのではないかと悩み続けてきた”と締めくくっている.愛する人の死に対する喪失感,焦燥感は,時が経つに連れ,そうした形で昇華してしまうものなのかもしれない.

 デニス・スレイモンは,乳癌患者の治療が生活のすべてのような患者思いの臨床医であり研究者であった.彼がそこまで乳癌の治療に執着する動機は語られていないが,とにかく乳癌患者のために,家族との団欒も,自分の時間も犠牲にしていた.映画「希望のちから」の話である.彼は,幾多の困難を乗り越え,製薬会社からのバックアップをなんとか受け,ついに,確かに乳癌患者の一部に効果を示すハーセプチン(R)を発見する.数々の研究結果から臨床応用できると確信したデニスは,臨床試験を行い,FDAに治療薬として認めてもらうために行動を起こす.それにはさらに大きな資金が必要であるが,彼は企業に断られても不撓不屈の精神で道を切り開いていった.

お知らせ

第17回第1種ME技術実力検定試験および講習会 フリーアクセス

pp.297

社団法人 日本生体医工学会

第1種ME技術実力検定試験実行委員会

 第1種ME技術実力検定試験はME機器・システムおよび関連機器の保守・安全管理を中心に総合的に管理する専門知識・技術を有し,かつ他の医療従事者に対し,ME機器・システムおよび関連機器に関する教育・指導ができる資質を検定することを趣旨とし,第2種ME技術実力検定試験合格者および臨床工学技士免許所有者を受験対象者としております.

シリーズ-検査値異常と薬剤・13

―投与薬剤の検査値への影響―中枢神経系作用薬・Ⅶ

片山 善章 , 澁谷 雪子 , 米田 孝司

pp.302-310

1 . ハロペリドール(ブチロフェノン系抗精神病剤,図1)

 ブチロフェノン誘導体(図2)であり,性状は白色~微黄色の結晶または粉末である.酢酸(100)に溶けやすく,メタノールにやや溶けにくく,2-プロパノールまたはエタノール(99.5)に溶けにくく,水にほとんど溶けない.

 主な代謝物および代謝経路はカルボニル基の還元(図3)のほか,酸化的アルキル化(図4),グルクロン酸抱合(図5)などに代謝される.臨床検査値への影響と副作用は表1に示した.

研究

真珠貝殻粉末におけるラット体脂肪減少効果の検討

庄野 正行 , 原田 永勝

pp.311-314

 真珠貝殻粉末の摂取がラットにおいて約10%の体重減少,27%の内臓脂肪量減少および59%の血中中性脂肪値の減少をもたらすことを見いだした.真珠貝殻粉末の摂取はラットの摂食量,また体長や筋肉量に変化を与えず,また血糖値にも影響を与えなかった.このことから真珠貝殻粉末は体脂肪量を特異的に減少させるものと考えられた.

あとがき フリーアクセス

坂本 穆彦

pp.318

 病理組織所見の1つに,スイスチーズ様という形容がある.また,乳腺の病気にはスイスチーズ病もある.スイスチーズは辞書では固くて穴のあいたチーズとあるが,スイスとの関係については何も書かれていない.

 何かに例えるということは,ある共通認識が形成されている仲間うちであれば,そこに込められたニュアンスを伝える有効な手段となりうる.しかし,問題は共通認識にないところで用いられる場合である.医学用語にも同じことが当てはまり,その例は決して少なくない.欧米の書籍の記述をあたかも標準化したものとしてそのまま直輸入するという,本邦の医療従事者の姿勢の後進性の表れとも言える.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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