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シリーズ-検査値異常と薬剤・14
―投与薬剤の検査値への影響―循環器系作用薬・ I
著者: 米田孝司1 片山善章2 澁谷雪子3
所属機関: 1オリエンタル酵母工業株式会社長浜事業所 2神戸常盤大学保健科学部医療検査学科 3神戸常盤大学短期大学部衛生技術学科
ページ範囲:P.411 - P.419
文献購入ページに移動1 . ジゴキシン
Na+,K+ATPaseのαサブユニットの細胞外領域に結合し,Na+とK+の能動輸送を抑制するため,心筋収縮力,徐脈,抗不整脈作用をする.さらに,腎でのNa+再吸収を抑制して利尿作用をする.
特徴:無色~白色の結晶または白色の結晶性の粉末で,においはない.ピリジンに溶けやすく,エタノール(95)に溶けにくく,酢酸(100)に極めて溶けにくく,水,クロロホルム,ジエチルエーテルまたはプロピレングリコールにほとんど溶けない.融点は230~265°Cである.消化管吸収率は約70%程度,組織への移行は速く,経口投与は1時間以内に作用する.腎臓から排泄され,血中半減期は33時間である(図1,表1).
代謝物における経路を図2に示した.また,digoxigenin-bis-digitoxiside,digoxigenin-monodigitoxiside,digoxigeninはジゴキシンと同様の活性を持っているが,還元代謝物であるdihydrodigoxinおよびその糖鎖部分が脱落した代謝物はジゴキシンの1/7~1/36の低い薬理活性を示す.
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