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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査55巻5号

2011年05月発行

雑誌目次

今月の主題 癌幹細胞と検査医学

巻頭言

癌幹細胞と検査医学

池田 康夫

pp.431-432

 癌は全死因の約30%を占め,死因統計の第1位であり,高齢化社会を迎えてますます増加傾向にある.したがって,癌の克服は世界中の人々の悲願であり,それに向けて多くの研究者が懸命な努力をしているところである.その戦略として現在最も注目されているのが,癌の源とも言える“癌幹細胞”である.この細胞を治療の標的として癌の根絶,治癒を目指そうというアプローチが国内外で始まっている.本邦はこれまで,幹細胞生物学研究で大きな成果を挙げてきており,その実績を基にした癌幹細胞研究においても優れた研究が展開されているが,この領域の研究の競争は国内外で激しく,特に癌根絶という大きな目標に向け新規の抗癌剤の開発競争は激烈を極めている.

 幹細胞とは自己複製と分化機能を併せもつ細胞であり,現在,ヒトのそれぞれの臓器ごとに幹細胞の存在が知られている.ヒトの各臓器の組織構築は幹細胞システムに依存していると考えられているが,癌組織についてもその構成細胞をみると,元の正常組織の構築に類似していることが多く,同様な幹細胞システムが作動しているのであろう.したがって,癌幹細胞こそが癌組織の発育,進展に中心的な役割を果たしていると考えられる.癌幹細胞は組織幹細胞,造血幹細胞と同様に自己複製と分化機能を有し,分化により癌細胞を供給して癌組織の発育を担っている.同時に無限の自己複製能をもっていることから,これを根絶しないかぎり癌のコントロールは困難である.その意味でも癌幹細胞の生物学的特徴を明らかにする研究の進展が待たれるところである.

総論

癌研究フロンティア―癌幹細胞

平尾 敦

pp.433-439

幹細胞は,分化した体細胞を供給すると同時に,自分自身を産生する自己複製の能力を兼ね備えた細胞である.癌組織においても,幹細胞様の細胞を頂点とした階層構造が存在するという“癌幹細胞説”が提唱されている.癌の階層構造に関しては様々な議論があるが,癌の起源細胞と幹細胞との関係や悪性進展における幹細胞特性(ステムネス)の獲得など,広義の癌幹細胞研究は,癌の本態解明に向けた新たなアプローチとして期待されている.癌ステムネスを支える分子基盤の解明は,新規癌診断・治療法を開発するための重要な鍵となる.

白血病幹細胞研究の展開

岩崎 浩己 , 菊繁 吉謙 , 赤司 浩一

pp.440-444

急性骨髄性白血病幹細胞が同定されたことによって,白血病造血にも幹細胞を頂点とするヒエラルキーモデルが適応可能と考えられるようになった.白血病幹細胞は主に細胞周期の静止期にあるため通常化学療法に抵抗性で,微小残存病変や再発の原因となっていると考えられる.多くの研究者が白血病幹細胞を特異的に死滅させる治療法の開発に努めているが,幹細胞アッセイ系としての異種移植システムは必ずしも十分な効率を達成していない.白血病幹細胞研究の根幹となる免疫不全マウスの改良にも大きな期待が寄せられる.

固形癌における癌幹細胞研究の展開

山田 大作 , 石井 秀始 , 小林 省吾 , 畠野 尚典 , 高橋 秀和 , 原口 直紹 , 和田 浩志 , 丸橋 繁 , 江口 英利 , 種村 匡弘 , 永野 浩昭 , 土岐 祐一郎 , 森 正樹

pp.445-452

近年,組織体性幹細胞の発見とともに,癌組織における癌幹細胞の存在について着目されるようになった.癌幹細胞は自己複製能・多能性をもつ特殊な癌細胞と考えられ,その特殊な能力によって,分化の程度,分裂速度の異なる細胞が混在する不均一な細胞集団である癌組織を形成していると考えられ,様々な癌腫において癌幹細胞の存在が報告されている.癌幹細胞は,その特殊性から抗癌治療に対する耐性をもっていると考えられ,癌幹細胞に対する研究は,新たな治療開発において,大いなる躍進をもたらすと期待されている.

各論

急性白血病

中島 秀明

pp.464-470

近年の幹細胞研究やゲノム研究の進歩により,白血病幹細胞の正体が次第に明らかとなってきた.白血病幹細胞は正常造血幹細胞に類似した表現型をもち,極めてよく似た分子メカニズムにより自己複製などの幹細胞機能が維持されている.しかしながら白血病幹細胞特異的な治療を開発するため,正常造血幹細胞と白血病幹細胞の細胞表面マーカーやシグナル伝達機構のわずかな違いを見いだし,モノクローナル抗体や低分子化合物による治療につなげようとする試みが行われている.

慢性骨髄増殖性疾患の白血病幹細胞

北中 明 , 下田 和哉

pp.471-476

慢性骨髄増殖性疾患は,複数系統の血球が増加,肝脾腫を伴う,相互に病型移行がみられる,などの共通した特徴を有する造血幹細胞疾患である.染色体転座による融合遺伝子の形成や遺伝子変異により,通常は刺激に応じて活性化されるチロシンキナーゼが恒常的に活性化されて発症する.慢性骨髄増殖性疾患の腫瘍細胞は,少数の白血病幹細胞と大多数の分化した腫瘍細胞から構成されており,その白血病幹細胞は,正常造血幹細胞と同様なKLS分画に濃縮される.Wnt/βカテニンシグナル,ヘッジホッグシグナル,promyelocytic leukemia protein(PML),フォークヘッド転写因子(FOXO)など,正常造血幹細胞の自己複製や維持に必須な分子により,白血病幹細胞も維持,制御されている.

グリオーマ

近藤 亨

pp.477-482

近年の発生生物学と再生医学の研究により発見された様々な神経幹細胞の性状と特異的マーカーを利用して,悪性グリオーマ内にグリオーマ幹細胞の存在が証明された.グリオーマ幹細胞は自己複製能,腫瘍形成能,様々な抗癌剤や放射線療法に対する抵抗性を有し,グリオーマ治療の重要な標的と考えられている.本稿では,現在までに報告されたグリオーマ幹細胞特異的因子群について概説するとともに,私たちが進めてきた人工グリオーマ幹細胞研究により明らかにしたグリオーマ幹細胞因子群について紹介し,今後のグリオーマ幹細胞研究の展望について論じる.

乳癌

横堀 武彦 , 三森 功士 , 岩槻 政晃 , 田中 文明 , 桑野 博行 , 森 正樹

pp.483-488

正常幹細胞と同様に癌においても,自己複製能や多分化能など幹細胞の性質を併せもつ癌幹細胞によって癌が維持される,癌幹細胞仮説が注目されている.現在まで様々な癌腫において癌幹細胞の分離同定が進められてきたが,固形癌で最初に癌幹細胞の存在が報告されたのは本稿で述べる乳癌であり,CD44(+)/CD24(-)の分画が腫瘍形成能,自己複製能など幹細胞の性質を有することが報告された.本稿では乳癌におけるCD抗原を含めた様々な癌幹細胞の検出方法について概説し,最後に幹細胞を標的とした治療に関する最近の知見について述べたい.

大腸癌

加藤 弘 , 山下 継史 , 渡邊 昌彦

pp.489-494

大腸癌は,遺伝子変異や修飾の蓄積で生じ進行する.これまで,この変化はすべての大腸上皮細胞に起きうると考えられてきたが,最近の研究で,臓器特異的幹細胞の存在が指摘され,大腸腺窩底部に位置する大腸幹細胞に遺伝子変異が蓄積し癌化する大腸癌幹細胞モデルが支持されている.この理論では,数%にも満たないわずかな癌細胞のみが腫瘍再形成能を有する.このレビューではまず,大腸腺窩の構造と大腸正常上皮幹細胞との関連を説明し,次に大腸癌幹細胞についての知見をまとめ,臨床応用の可能性についても議論する.

膵癌

小池 博之 , 中田 晋 , 谷口 英樹

pp.495-499

膵癌は既存の治療法に強い抵抗性を示し,極めて予後が悪い.近年,膵癌中に幹細胞の性質をもつ,いわゆる癌幹細胞が少数存在し,治療抵抗性に寄与しているというモデルが提唱されている.膵癌の治療抵抗性にかかわる膵癌幹細胞の同定は,有効な膵癌の治療法を開発するうえで重要と考えられる.

前立腺癌

辻村 晃 , 高尾 徹也 , 野々村 祝夫

pp.500-504

前立腺癌は未分化な癌化した細胞(癌幹細胞)から発生する説がある.内分泌療法はアンドロゲン依存性の末梢癌細胞を消失させるが,非依存性の癌幹細胞が残存し,これが再燃癌へ再度進行するという考えである.したがって,前立腺の幹細胞および癌幹細胞を同定し,これらをターゲットにした癌治療が,再燃癌を含めた新しい前立腺癌治療戦略になり得る.本稿では,マウスとヒトにおける前立腺幹細胞および癌幹細胞同定におけるこれまでの知見として,CD133をはじめとした幹細胞マーカーを中心に紹介する.

各論 〈検査〉

癌幹細胞の同定

熊野 恵城 , 黒川 峰夫

pp.453-457

近年,白血病をはじめとした種々の癌において,少数の幹細胞が存在し,限られた分化と自己複製を繰り返しながら癌構成細胞を供給し続ける,癌幹細胞システムという概念が提唱されている.白血病を含めた造血器腫瘍は癌幹細胞システムのよいモデルとされている.白血病幹細胞(leukemic stem cell)の起源となる標的細胞の同定や,正常造血幹細胞や前駆細胞との遺伝子発現や細胞表面マーカーの比較により,白血病幹細胞と正常造血幹細胞を区別することが可能となり,白血病幹細胞のみを標的とする治療法の開発が試みられている.また,固形癌においても同様に細胞表面マーカーや色素排出能を指標としたside population細胞によりその同定がなされるようになってきている.このような癌幹細胞は,種々の抗癌剤や放射線に対して耐性を示すことから,癌の完治のためには癌幹細胞を標的にする治療法の開発が必要である.

癌幹細胞マーカー

山崎 裕人 , 森本 幾夫

pp.458-463

癌幹細胞の分離・同定に用いられるマーカーは大きく分けて,細胞表面抗原であるCDマーカーと,細胞内の代謝活性を利用した方法とに分けられる.固形癌におけるCDマーカーには,CD44,CD133などの多くのタイプの癌に共通のマーカーと,組織特異的なマーカーに分けられる.代謝活性を指標にしたマーカーは,ヒト以外の動物細胞でも応用可能で,ヘキスト色素の排出能を指標にしたSide population法と,ALDH1酵素活性を検出する方法があり,いずれもフローサイトメーターで検出できる.

話題

白血病幹細胞を標的とした新規治療法

田中 宏和 , 金倉 譲

pp.507-511

1 . はじめに

 正常組織と同様に,種々の癌においてもごくわずかな“癌幹細胞(cancer stem cell;CSC,もしくはcancer-initiating cell)”と呼ばれる幹細胞が存在し,限られた分化と自己複製により腫瘍組織を維持しているだけでなく,治療に対する抵抗性や再発に強く関連していることが明らかになっている.腫瘍組織を形成する癌幹細胞以外の癌細胞は限られた分裂能しか有さず,いずれアポトーシスを起こしていくので,癌を治癒させるにはCSCのみを死滅させれば十分である.近年,正常幹細胞と癌幹細胞を識別可能な表面抗原や,両者の自己複製能,多分化能の維持にかかわる分子機構の異同についての知見を基に,癌幹細胞を標的とした新たな治療が開発されつつある(図1).

 本稿では造血器腫瘍の代表的疾患である白血病において,真の治療標的と想定される白血病幹細胞(leukemic stem cell;LSC)に対する治療の最近の動向について,急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML),慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia;CML)を中心に概説したい.

今月の表紙 代表的疾患のマクロ・ミクロ像 非腫瘍・5

脳梗塞のマクロ・ミクロ像

小松 明男 , 坂本 穆彦

pp.428-430

 病理総論では,梗塞は終動脈(機能的終動脈も含む)の閉塞・高度の内腔狭窄による灌流領域の壊死である.脳梗塞は,脳動脈閉塞による虚血によって引き起こされる灌流領域の融解壊死である.脳虚血はこれよりも若干広義で,脳全域をびまん性に傷害する機能的なものも含まれる1).損傷の程度は,部位,閉塞血管の大きさ,側副血行路の状態などが影響する.側副血行路は髄膜近傍に発達し,深部には乏しい.脳梗塞は粥状硬化症と相関関係があり,粥状硬化症の合併症として死亡原因の主座を占める.脳梗塞と脳出血の発生頻度を比較すると,アメリカでは脳梗塞85%,脳出血15%で,脳梗塞が圧倒的に高い.本邦でも,疾病構造の欧米化とともにこの傾向が著明になった.人口10万人当たりの死亡率でみると,1970年代までは脳出血のほうが脳梗塞よりも死亡率が高かったが,以後逆転し現在では脳梗塞のほうが高く,2倍以上となっている2).粥状硬化症が生活習慣病の中で重要視される一因となっている.

 上記のとおり脳梗塞は血管の閉塞に起因するが,原因が脳内に限局する疾患か,他臓器にも原因の一部があるか,という観点から脳梗塞は脳血栓と脳塞栓とに分けられる.脳血栓は脳内における血栓形成が原因であり(in situ thrombosis),脳塞栓は脳以外の臓器で栓子が形成されて血流により脳に運ばれて内腔を閉塞する疾患である(図1).栓子が形成される脳以外の臓器は多岐にわたるが,最も高頻度にみられるのは心疾患を有する心臓である.ことに心筋梗塞,弁膜症,心房細動には合併症として壁在血栓がしばしばみられる.この壁在血栓が時に栓子となり,脳塞栓を惹起する.心臓以外では内頸動脈の粥状硬化症からのプラークの剝離,心奇形に伴う奇異塞栓,骨折に伴う脂肪塞栓などが重要である.脳塞栓の好発部位は,中大脳動脈の灌流領域,分岐部,粥状硬化症による狭窄病変のみられる所である.

映画に学ぶ疾患・15

「パピヨン」―スティーブ・マックイーンの生涯

安東 由喜雄

pp.505

 胸に蝶の入れ墨をした男は“パピヨン”(スティーブ・マックイーン)と呼ばれた.男はパリで金庫破りの罪で捕まるが,仲間の裏切りからほかの罪も着せられ,裁判で終身刑を言い渡される.映画「パピヨン」の始まりである.彼はまず,フランスから遠く離れた南米のフランス領ギアナの刑務所に収容される.無実ではないとは言うものの,不当な罪を着せられたパピヨンは,何度も脱獄に失敗し,何度目かの獄中は陽も当たらない独房であった.しかしパピヨンの脱獄にかける執念は衰えず独房の中で見つけたムカデ,ゴキブリなどを食べてまで生き残る.

 十数年の月日が流れる.パピヨンは白髪頭となっていた.彼は断崖に囲まれ,激流とサメが押し寄せ,脱出は到底不可能な島に送られる.そこでは手錠も足枷もないうえ,日常生活の制約はなく,悠々自適ともいうべき生活を送ることができるはずだが,パピヨンは,またも脱出のチャンスをうかがい,今度もサメのいる大海原にボートを漕ぎ出す.

お知らせ

第9回信濃川・浜名湖国際病理セミナー フリーアクセス

pp.512

第9回信濃川・浜名湖国際病理セミナー

 「浜名湖国際セミナー」は名称が変更され,「信濃川・浜名湖国際病理セミナー」として継続されることとなりました.今後は原則的に長岡市と浜松市で交互に開催の予定です.

 さて,今年の主題は「実践的FNA,EUにおけるFNA,および細胞診の未来」です.細胞診は利便性と迅速性に優れ,医療に不可欠な検査として頻用されてきました.今世紀に入り,我が国の細胞診は報告様式の基本的変革や検査基盤と制度の改革を行い,医学,医療,および,社会の変化に対応してきました.しかし,客観的診断基準の確立,分子生物学的検査との共存,新しい時代への戦略等々考えるべき課題は多々あるようです.

シリーズ-検査値異常と薬剤・15

―投与薬剤の臨床検査値への影響―循環器系作用薬・Ⅱ

吉年 正宏 , 森山 健三

pp.513-520

利尿薬

 腎尿細管におけるNa,Clの再吸収を抑制することにより,Na,Clの排泄を促進し,これに伴って水の排泄が増加,すなわち体液量を減少させる.さらには交感神経刺激に対する末梢血管の感受性を低下させることにより降圧効果も発揮する.利尿薬にはサイアザイド系,ループ系,カリウム保持性,炭酸脱水素酵素阻害薬に大別される.

 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」1)では,「少量の利尿薬は副作用の頻度は少なく,他の降圧薬と併用することにより,降圧効果が相乗的に増大する」として併用を推奨している.また,心不全などに伴う浮腫やむくみなどでも使用される.いずれにせよ連用する場合,後述するように電解質失調や尿酸値異常,糖・脂質系代謝異常が現れることがあるため,定期的に検査を行う必要がある.

あとがき フリーアクセス

濱﨑 直孝

pp.522

 3月11日にとんでもない地震が東日本全体を襲いました.2日が経過して,この「あとがき」を書いている時点でもまだ被害の全貌ははっきりしていません.岩手県,宮城県,福島県の沖合の地形を沿う形で約400kmにわたってM9.0の地震が発生した模様で,北海道から首都圏までに死者の報告が出ており,震源地に近い岩手,宮城,福島の各県だけですでに1,000名を超える死者・行方不明者が推測されています.また,ある地域では10,000名の住民すべてに連絡が取れていないという報道もなされています.テレビで報道される津波の映像はパニック映画のCGではないではないかと目を疑い,このような悲惨なできごとが現実に起こっているとは信じがたく痛ましく言葉もありません.1995年1月に発生した阪神・淡路大震災の1,000倍ものエネルギーであるらしく,原子力発電所の被災もあり,その全貌が明らかになることを考えると空恐ろしくなっています.被災者の方々へは心よりお悔やみを申し上げます.すでに,政府や各県からの政策面・人的な支援が始まってはいますが,われわれ1人1人もできる限りできる範囲で助け合ってゆかねばならないし,被災者の皆様には申しわけなく感じております.

 さて,今月の主題である癌幹細胞は癌の発生にかかわる問題であり,注目度が高く興味がある方が多いことと思いますが,その本質や研究を理解している人々は案外少ないのではないかと推測しています.今月号の主題企画では,本邦で癌幹細胞研究にかかわっておられる第一線の研究者に,まさに,進行している研究をできる限りわかりやすく解説をしていただきました.総論では,癌幹細胞アイディアの起源から最近10年あまりに急速に進展した癌幹細胞の概要を「癌研究フロンティア―癌幹細胞」として体系的に平尾敦先生(金沢大学がん進展制御研究所)にまとめていただき,発想だけであった“癌幹細胞”が現実の研究テーマになるきっかけを作った急性骨髄性白血病研究に関して岩崎浩巳先生(九州大学病院血液・腫瘍内科)のグループに,固形癌に関しては山田大作先生(大阪大学消化器外科学)のグループにまとめていただきました.さらに,現時点で,癌幹細胞に関する研究成果が臨床検査として日常臨床の場で利用されるまでにはなっていないのではないかと思いますが,最先端の研究手段としての検査を「癌幹細胞の同定法」,「癌幹細胞マーカー」について紹介していただきました.近い将来このような検査が日常検査として活用され,癌対策に有効に利用されることを祈念しております.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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バックナンバー

64巻12号(2020年12月発行)

今月の特集1 血栓止血学のトピックス—求められる検査の原点と進化
今月の特集2 臨床検査とIoT

64巻11号(2020年11月発行)

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今月の特集2 パニック値報告 私はこう考える

64巻10号(2020年10月発行)

増刊号 がんゲノム医療用語事典

64巻9号(2020年9月発行)

今月の特集1 やっぱり大事なCRP
今月の特集2 どうする?精度管理

64巻8号(2020年8月発行)

今月の特集1 AI医療の現状と課題
今月の特集2 IgG4関連疾患の理解と検査からのアプローチ

64巻7号(2020年7月発行)

今月の特集1 骨髄不全症の病態と検査
今月の特集2 薬剤耐性カンジダを考える

64巻6号(2020年6月発行)

今月の特集 超音波検査報告書の書き方—良い例,悪い例

64巻5号(2020年5月発行)

今月の特集1 中性脂肪の何が問題なのか
今月の特集2 EBLM(evidence based laboratory medicine)の新展開

64巻4号(2020年4月発行)

増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見

64巻3号(2020年3月発行)

今月の特集1 Clostridioides difficile感染症—近年の話題
今月の特集2 質量分析を利用した臨床検査

64巻2号(2020年2月発行)

今月の特集1 検査でわかる二次性高血圧
今月の特集2 標準採血法アップデート

64巻1号(2020年1月発行)

今月の特集1 免疫チェックポイント阻害薬—押さえるべき特徴と注意点
今月の特集2 生理検査—この所見を見逃すな!

63巻12号(2019年12月発行)

今月の特集1 糖尿病関連検査の動向
今月の特集2 高血圧の臨床—生理検査を中心に

63巻11号(2019年11月発行)

今月の特集1 腎臓を測る
今月の特集2 大規模自然災害後の感染症対策

63巻10号(2019年10月発行)

増刊号 維持・継続まで見据えた—ISO15189取得サポートブック

63巻9号(2019年9月発行)

今月の特集1 健診・人間ドックで指摘される悩ましい検査異常
今月の特集2 現代の非結核性抗酸菌症

63巻8号(2019年8月発行)

今月の特集 知っておきたい がんゲノム医療用語集

63巻7号(2019年7月発行)

今月の特集1 造血器腫瘍の遺伝子異常
今月の特集2 COPDを知る

63巻6号(2019年6月発行)

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今月の特集2 薬剤耐性菌のアウトブレイク対応—アナタが変える危機管理

63巻5号(2019年5月発行)

今月の特集1 現在のHIV感染症と臨床検査
今月の特集2 症例から学ぶフローサイトメトリー検査の読み方

63巻4号(2019年4月発行)

増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ

63巻3号(2019年3月発行)

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63巻2号(2019年2月発行)

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63巻1号(2019年1月発行)

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今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
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59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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