文献詳細
今月の主題 脂肪細胞
話題
分泌型frizzled-related蛋白5(Sfrp5)
著者: 大内乗有1
所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科分子循環器学講座
ページ範囲:P.605 - P.608
文献概要
肥満は世界的に深刻な健康問題として捉えられている.本邦においては生活習慣の変化に伴い,過栄養や運動不足が誘因となり,肥満,特に内臓脂肪蓄積を基盤とした糖尿病,高脂血症,高血圧を高率に合併するメタボリックシンドロームやその終末像である動脈硬化が増加しており,社会的問題となっている.
脂肪組織は単なるエネルギー貯蔵臓器ではなく,アディポサイトカイン(あるいはアディポカイン)と総称すべき様々な生理活性物質を分泌する内分泌臓器であることが明らかとなっている1).肥満に伴う脂肪細胞の機能不全に起因するアディポサイトカインの調節異常や機能不全が,メタボリックシンドロームなどの肥満症の病態において中心的役割を果たしていることが明らかとなってきた.多くのアディポサイトカインは肥満に伴って産生が増加し,肥満症を引き起こす因子として作用する.一方,最近になり,Sfrp5(secreted frizzled-related protein 5)が代謝改善作用を有するアディポサイトカインであることが明らかとなった.
本稿では,肥満に伴う糖代謝異常に対するSfrp5の影響とその作用機序について概説する.
参考文献
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