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文献詳細

雑誌文献

臨床検査55巻6号

2011年06月発行

文献概要

今月の表紙 代表的疾患のマクロ・ミクロ像 非腫瘍・6

水頭症のマクロ・ミクロ像

著者: 小松明男1 坂本穆彦2

所属機関: 1東京都保健医療公社多摩南部地域病院検査科 2杏林大学医学部付属病院病理部

ページ範囲:P.528 - P.529

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 水頭症は,脳脊髄液(cerebrospinal fluid;CSF)が頭蓋腔内に貯留し,著明な脳室拡大をきたした状態である.すなわち閉塞,狭窄,吸収障害,産生過剰などによるCSFの高度循環障害である.CSFは主として側脳室脈絡叢で産生され,室間孔(Monro孔),第3脳室,中脳水道,第4脳室を流れ,Magendie孔,Luschka孔を経由し大槽(cisterna magna)に集められ,くも膜下腔へと流れ,くも膜顆粒より上矢状洞などの静脈・脊髄神経の神経鞘のリンパ液に吸収される.また毛細血管およびリンパ管からも吸収されている1,2)

 水頭症は小児にも成人にも発生する.小児ではCSF循環経路の閉塞が認められる非交通性のものが多い.また奇形によるものが多い.代表的な疾患としては,小脳扁桃の大孔への陥入が原因で大槽(cistern magna)が閉塞されるArnold-Chiari奇形,およびMagendie孔とLuschka孔の閉塞により第4脳室が囊状に拡張するDandy-Walker症候群などが挙げられる.頭囲の拡大は,乳幼児でしばしばみられる.拡大の有無は水頭症の発症時期によって異なる.頭蓋骨の縫合が未完成な段階,すなわち乳幼児では,拡大がみられることがある.しかし縫合が完成する幼児期以降では頭囲の拡大はみられない.

参考文献

1) Greitz D, Hannerz J:A proposed model of cerebrospinal circulation:observations with radionuclide cisternography. AJNR Am J Neuroradiol 17:431-438,1996
2) Koh L, Zakharov A, Johnston M:Integration of the subarachnoid space and lymphatics:is it time to embrace a new concept of cerebrospinal fluid absorption? Cerebrospinal Fluid Res 2:6,2005
3) 石川正恒,近藤明悳,野島邦治,他:正常圧水頭症の全国調査結果.厚生省特定疾患難治性水頭症調査研究分科会平成8年度研究報告書,pp7-9,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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