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文献概要
今月の主題 アルコール依存症 各論 〈検査とその読み方〉
アルコール性肝障害
著者: 堤幹宏1
所属機関: 1金沢医科大学消化器内科学(肝胆膵内科)
ページ範囲:P.1435 - P.1440
文献購入ページに移動アルコール代謝の特徴は,アルコール代謝関連酵素が主に肝に存在し,体内に吸収されたアルコールの90%以上が肝で代謝され,しかも肝細胞でのアルコール代謝にはフィードバック機構が存在しないことである.したがって,慢性飲酒に伴う様々な臓器障害のうち,最も高頻度で,かつ重篤な障害が肝に生じることになる.また,アルコール代謝に伴って生じるNADH/NAD比の上昇は,肝細胞内の様々な酸化還元反応に影響を及ぼし,一定以上の飲酒により脂肪肝は必ず発生するとともに,血液生化学的には,AST優位のトランスアミナーゼ,中性脂肪,γ-GTPおよび尿酸の上昇をもたらすことになる.しかし,いずれも禁酒によって速やかに改善するのがアルコール性肝障害の大きな特徴である.
参考文献
1) Lieber CS : Metabolism of ethanol. In : Medical and nutritional complications of alcoholism (Lieber CS ed), Plenum Medical Book Company, New York,pp1-35,1992
2) アルコール医学生物学研究会(編):JASBRAアルコール性肝障害診断基準(2011年版),アルコール医学生物学研究会,2012
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