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文献詳細

雑誌文献

臨床検査56巻13号

2012年12月発行

文献概要

今月の主題 アルコール依存症 話題

アルコール依存症の予防―ブリーフインターベンション

著者: 杠岳文1

所属機関: 1国立病院機構肥前精神医療センター

ページ範囲:P.1472 - P.1476

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1.はじめに―わが国のアルコール医療

 わが国のアルコール医療は,1963年に久里浜病院(現久里浜医療センター)にアルコール依存症の専門治療病棟が設置され,入院3か月間での集団のプログラム治療が行われたことに始まる.それ以前のアルコール依存症患者に対する医療は,特別の治療技法をもたなかったこともあり,精神科の閉鎖病棟で他の精神疾患患者と一緒に治療が行われていた.結果として,依存症の治療というより,飲酒にまつわる様々な問題で社会や家族に迷惑をかける患者を隔離収容する意味合いが大きかったようである.1975年には,久里浜病院でアルコール中毒臨床医研修事業が開始され,この機に学んだ者が日本各地で同様の集団のプログラム治療を実践し,“久里浜方式”として広く知られるようになった.また,最近では中年男性を中核群としながらも,患者層は女性,若年,高齢者と多様化し,それぞれの特性に応じたプログラムも行われるようになり,治療プログラムには認知行動療法も幅広く取り入れられてきた.

 いくつかの変遷はあったものの,わが国でのアルコール医療は専らアルコール依存症患者,特にその中でも比較的重篤な患者に対して断酒を唯一の治療目標とする治療が行われてきた.一方で,有効な薬物治療もないまま治療成績に大きな改善はみられず,長期の断酒率は20%程度とされている1)

参考文献

1) 鈴木康夫:アルコール症者の予後に関する多面的研究.精神神経誌 84:243-261,1982
2) Fleming MF, Barry KL, Manwell LB, et al : Brief physician advice for problem drinkers. A randomized controlled trial in community-based primary care practice. JAMA 277:1039-1045,1997
3) Fleming MF, Mundt MP, French MT, et al : Brief physician advice for problem drinkers : long term efficacy and benefit-cost analysis. Alcohol Clin Exp Res 26:36-43,2002
4) U. S. Preventive Services Task Force : Screening and behavioral counseling interventions in primary care to reduce alcohol misuse : recommendation statement. Ann Intern Med 140:554-556,2004
5) Bien TH, Miller WR, Tonigan JS : Brief interventions for alcohol problems : a review. Addiction 88:315-335,1993
6) 廣尚典,島悟:問題飲酒指標AUDIT日本語版の有用性に関する検討.日本アルコール・薬物医学会雑誌 31:437-450,1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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