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シリーズ-感染症 ガイドラインから見た診断と治療のポイント・8
MRSA感染症
著者: 二木芳人1
所属機関: 1昭和大学医学部臨床感染症学
ページ範囲:P.1491 - P.1493
文献購入ページに移動はじめに
近年,わが国においても各種感染症の診療ガイドラインが相次いで作成,公表されている.他の疾患と異なり感染症は,その起炎菌頻度やそれぞれの抗菌薬に対する感受性,あるいは使用できる抗菌薬の種類や投与量・投与法が地域や国によって異なるため,他の地域のガイドラインの流用は時に間違いの元となり,また国際的な統一ガイドラインの作成は難しい.したがって,それぞれの地域や国で独自のガイドラインを作成することが求められる.
今回のテーマのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)感染症は,院内感染症の最も重要な病原微生物の一つであり,昨今では市中感染型MRSA(community-acquired MRSA;CA-MRSA)の増加傾向,あるいは標準的な抗MRSA薬の感受性低下などの新しい話題があるにもかかわらず,今日まで,わが国独自の診療ガイドラインは作成されていなかった.しかし,現在日本化学療法学会と日本感染症学会が共同作業で,「MRSA感染症の治療ガイドライン(仮)」を作成中で,今年度中にも完成の予定である.したがって,現時点ではMRSA感染症の診療ガイドラインは存在しないこととなり,それに沿った診断と治療のポイントを執筆することは不可能である.
そこで本稿では,この新しいガイドラインの作成のコンセプトや背景因子を紹介しつつ,わが国におけるMRSA感染症の現状といくつかの項目に限ってその診断あるいは治療のポイントを解説する.
近年,わが国においても各種感染症の診療ガイドラインが相次いで作成,公表されている.他の疾患と異なり感染症は,その起炎菌頻度やそれぞれの抗菌薬に対する感受性,あるいは使用できる抗菌薬の種類や投与量・投与法が地域や国によって異なるため,他の地域のガイドラインの流用は時に間違いの元となり,また国際的な統一ガイドラインの作成は難しい.したがって,それぞれの地域や国で独自のガイドラインを作成することが求められる.
今回のテーマのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)感染症は,院内感染症の最も重要な病原微生物の一つであり,昨今では市中感染型MRSA(community-acquired MRSA;CA-MRSA)の増加傾向,あるいは標準的な抗MRSA薬の感受性低下などの新しい話題があるにもかかわらず,今日まで,わが国独自の診療ガイドラインは作成されていなかった.しかし,現在日本化学療法学会と日本感染症学会が共同作業で,「MRSA感染症の治療ガイドライン(仮)」を作成中で,今年度中にも完成の予定である.したがって,現時点ではMRSA感染症の診療ガイドラインは存在しないこととなり,それに沿った診断と治療のポイントを執筆することは不可能である.
そこで本稿では,この新しいガイドラインの作成のコンセプトや背景因子を紹介しつつ,わが国におけるMRSA感染症の現状といくつかの項目に限ってその診断あるいは治療のポイントを解説する.
参考文献
1) Liu C, Bayer A, Cosgrove SE, et al : Clinical practice guideline by the infectious diseases society of america for the treatment of methicillin-resistant Staphylococcus aureus infections in adults and children. Clin Infect Dis 52:e18-e55,2011
2) Gemmell CG, Edward DI, Frase AP, et al : Guidelines for the prophylaxis and treatment of methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) infections in the UK. J Antimicrob Chemother 57:589-608,2006
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