臨床検査56巻13号

2012年12月発行

研究

糸状菌検出試験紙に適した白癬病巣からの検体採取法

著者： 望月隆¹² 安澤数史¹² 坂田祐一¹ 坂元とも子¹ 岩永知幸¹ 法木左近³ 石田久哉⁴

所属機関： ¹金沢医科大学医学部皮膚科学講座 ²金沢医科大学総合医学研究所皮膚真菌学研究部門 ³福井大学医学部病因病態医学講座腫瘍病理学領域 ⁴いしだ皮膚科クリニック

ページ範囲：P.1503 - P.1507

文献概要

　白癬菌に対する抗体を用いた免疫クロマトグラフィ法による抗原検出キットが糸状菌検出試験紙(以下，試験紙)として市販されている．この試験紙に適した検体採取法として市販の湿綿棒で白癬病巣を擦過する方法の有用性を検討した．KOH直接鏡検法で診断した足白癬では10回擦過と30回擦過検体において試験紙の結果に差はなく，感度81.3％であった．以上より，病巣を湿綿棒で10回以上擦過する方法は簡便で有用な検体採取法と考えられた．

参考文献

1) 渡辺晋一，西本勝太郎，浅沼廣幸，他：本邦における足・爪白癬の疫学調査成績．日皮会誌　111：2101-2112，2001

2) 石田久哉，法木左近，梶谷和生，他：抗白癬菌モノクローナル抗体の菌種特異性の検討．真菌誌　44(Suppl.1)：98，2003

3) Higashi Y, Miyoshi H, Takeda K, et al : Evaluation of a newly-developed immunochromatography strip test for diagnosing dermatophytosis. Int J Dermatol　51：406-409，2012

4) 石田久哉，法木左近：皮膚糸状菌(白癬菌)検出キット．WHAT'S NEW in皮膚科学2012-2013(宮地良樹編)，メディカルレビュー社，2012

5) 田邉　洋：糸状菌検出試験紙について．臨床皮膚科　66：71-75，2012

6) 坂元とも子，安澤数史，藤井俊樹，他：大学女子柔道部におけるブラシ法とセロファンテープ法を用いて検診したTrichophyton tonsurans感染症の集団発生例．皮膚の科学，in press

7) 比留間政太郎，白木祐美，廣瀬伸良：トンズランス感染症　ブラシ検査・治療・予防のガイドライン，Trichophyton tonsurans感染症研究会，2008