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著者: 伊藤喜久
所属機関:
ページ範囲:P.340 - P.340
文献購入ページに移動結石の形成にかかわると思われる事象に日常よく遭遇します.尿を冷蔵庫に入れると,ものの数分で濁り沈殿物が出現してきます.これを遠心分離して上清を採って再度冷蔵するとまた濁り,これが幾度も繰り返えされます.沈殿物を取って顕鏡すると,結石成分のコアとなる結晶が観察されます.EDTAなどのキレート剤を加えると沈殿量は減少することから,少なからずCaが主成分であることが推測されます.われわれの尿はある意味でCaを初めとする塩類が過飽和の状態にあると言えそうです.今度は尿を-20℃に凍結してみます.融解後もやはり濁り沈殿物がみられ,遠心して上清のアルブミンを測ってみますと,凍結前よりも20%濃度が低下しています.ところがVortex mixerで撹拌して沈殿物を混和した後に測定しなおすと凍結前と変わりがない.つまり,アルブミンは沈殿物に巻き込まれていることになります.
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