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雑誌詳細

文献概要

シリーズ-感染症 ガイドラインから見た診断と治療のポイント・1【新連載】

成人肺炎

著者: 森永芳智1 栁原克紀1

所属機関: 1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・診断学

ページ範囲:P.534 - P.542

はじめに

 これまでの肺炎診療は,病院の外で発症した市中肺炎(community-acquired pneumonia;CAP)と病院の中で発症した院内肺炎(hospital-acquired pneumonia;HAP)の2つに大きく区別していた.背景や治療方針などが大きく異なる2つの肺炎群それぞれに診療ガイドライン1,2)が作成され,診療の質の向上に貢献するとともに,学術的な基盤としても一定の効果をあげてきた.一方で,これらにうまく分類できない肺炎群があることも問題点として指摘されていた.つまり,基礎疾患をもつ患者や入退院を繰り返す高齢者,介護施設入所者などに起こる肺炎が新たな概念として医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-

associated pneumonia;NHCAP)と定義づけされ,2011年8月に診療ガイドライン3)が公表された.わが国の医療状況に照らし合わせてみると,それぞれの肺炎は,主に図1に示すような領域の患者を対象としている.患者状態や耐性菌の関与の側面からも,NHCAPはCAPとHAPの中間的な位置づけであるが,明確に分類できないこともある(図2).

 本稿では,各診療ガイドラインの患者背景,診断・治療の考え方などを中心に解説する.

参考文献

1) 日本呼吸器学会 呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会:成人市中肺炎診療ガイドライン,2007
2) 日本呼吸器学会 呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会:成人院内肺炎診療ガイドライン,2008
3) 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン作成委員会:医療・介護関連肺炎診療ガイドライン,日本呼吸器学会,2011
4) Guidelines for the management of adults with hospital-acquired, ventilator-associated, and healthcare-associated pneumonia. Am J Respir Crit Care Med 171:388-416,2005
5) El Solh AA, Akinnusi ME, Pineda LA, et al : Diagnostic yield of quantitative endotracheal aspirates in patients with severe nursing home-acquired pneumonia. Crit Care 11:R57,2007
6) Fine MJ, Auble TE, Yealy DM, et al : A prediction rule to identify low-risk patients with community-acquired pneumonia. N Engl J Med 336:243-250,1997
7) Dennis MS, Lewis SC, Warlow C : Effect of timing and method of enteral tube feeding for dysphagic stroke patients (FOOD) : a multicentre randomised controlled trial. Lancet 365:764-772,2005

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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