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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査56巻6号

2012年06月発行

雑誌目次

今月の主題 めまいの生理検査

巻頭言

めまいの生理検査を学ぶに当たっての留意点

室伏 利久

pp.573-574

 めまい・平衡障害は,身体の平衡を司る機構に不具合を生じたときに起こる症候である.このような機能障害の検査として生理検査(平衡機能検査)が重要であることは言うまでもない.めまい・平衡障害の診療に当たって生理機能検査を適切に施行し,その結果を正しく解釈することが正しい診断に至るための第一歩である.本号では,めまい・平衡障害の診断に必要な生理検査が特集されている.今回とりあげた検査によって,末梢前庭系に関しては半規管系と耳石器系の両者,また,反射系としても前庭眼反射系と前庭脊髄反射系の両者,また,めまい・平衡障害にかかわる中枢神経系の評価が可能である.とりあげた検査は,一般臨床で頻用されている検査が主体である.古典的なめまいの生理検査であるが,依然として重要な検査であるENG(電気眼振計)検査から,近年注目されるようになってきた耳石器系の機能検査であるVEMP(前庭誘発筋電位)まで含まれている.そのほか,話題として,必ずしも一般化されてはいないが,先端的な知識として知っておいたほうが望ましい検査についても紹介した.また,検査の基礎となる解剖と生理,疾患に関するまとめもあわせて掲載した.執筆者らはいずれもこの分野に造詣の深い専門家であり,この一冊で,めまい・平衡障害の生理検査全体についての基本的な知識を得ることができるものと確信している.

 しかし,その一方で,めまい・平衡障害の診療には,本書による知識だけでは不十分な点のあることも認識しておく必要がある.まず,第一に,生理検査はめまい・平衡障害の検査のなかで大きなウエイトを占めるものではあるが,すべてではないということである.たとえば,もう一つの大きな柱に,画像検査がある.今日画像検査の発展は著しいものがある.画像検査と生理検査は臨床診断を進めてゆくうえでの車の両輪であり,いずれか一方にのみかたより過ぎるのは危険である.生理検査は機能の異常を調べる検査で,画像検査は形態の異常を調べる検査である.言いかえると,生理検査はシステムの異常を調べる検査であり,画像検査はスペースの異常を調べる検査である.したがって,両者で常に異常が検知できるとは限らないし,それぞれの異常はその意味を異にしている.しかし,可能な限り,一方の検査で異常が出た場合には,もう一方の検査で裏付けをとるという態度が重要であると考える.実習の学生に講義するときには,「犯罪捜査の際に一つの証拠に頼りすぎるのは危険で,かならず,別の面から裏付けをとらないと冤罪を生じてしまうのと同じだ」などというたとえ話をしている.画像検査については他の成書を参照されたい.

総論

めまいの検査に必要な前庭系の解剖と生理

岩﨑 真一

pp.575-582

前庭系は,内耳の末梢前庭器から前庭神経を経て,様々な反射経路を通じ,眼球運動の調節(前庭動眼反射)や頸部・体幹・下肢の運動調節(前庭頸反射,前庭脊髄反射)を行うことによって,視線を一定に保ち,身体の平衡を保つのに役立っている.めまいの検査においては,末梢前庭機能を直接評価するのは困難であるため,前庭動眼反射や前庭脊髄反射によって生じる眼球運動や筋肉の収縮を利用して,間接的に前庭機能評価を行う.本稿では,めまいの検査を理解するために必要とされる,末梢前庭器の解剖・機能および前庭動眼反射,前庭頸反射,前庭脊髄反射の反射経路とその機能について概説した.

めまいの原因疾患と治療

飯田 政弘

pp.583-589

めまいは平衡障害の一分症であり,身体平衡に関係する神経系の障害で起こる.多くは末梢性めまいであるが,生命予後への影響や重篤な神経系機能障害をきたす中枢性めまいに注意を払い診療に当たるべきである.めまいの診療において,問診でめまいの性状・背景因子などを適確かつ迅速に把握すること,随伴症状のチェック,眼振や体平衡検査による前庭機能ならびに平衡機能検査,画像検査による病巣診断などが診断の鍵となる.中枢性めまいの鑑別が重要となり,脳神経症状,運動・知覚障害に注意を要する.治療は,急性期のめまいや悪心・嘔吐に対する対症療法,前庭機能不均衡を是正し前庭機能の早期回復をはかる治療,耳石置換法などの理学療法に大別される.病態・病像にあった治療の選択が必要となる.以上,めまいの診断ならびに治療の実際をまとめた.

平衡機能検査総論

室伏 利久

pp.590-594

めまい・平衡障害という機能障害の検査としては,生理機能検査(平衡機能検査)が重要であり,めまい・平衡障害の診断に当たっては,正しく平衡機能検査を施行し,正しくその結果を解釈しなければならない.本稿では,めまい・平衡障害の診断に用いられている生理機能検査(平衡機能検査)について,その目的,分類,注意事項について述べた.また,本特集号の他稿で解説されていない一部の基本的な検査,すなわち,自発眼振検査,注視眼振検査,頭位・頭位変換眼振検査および直立検査,足踏み検査について若干の解説を加えた.

一般診療所でのめまい検査

中村 正

pp.595-601

一般診療所はめまい患者の初期診療を担う医療機関として極めて重要な位置を占めているが,病因が多様なめまい疾患を診療所で的確に診断することは容易ではない.しかし,生理検査を適切に選択して効率的に検査を進めれば診療所でもめまいの初期診療は十分に可能である.重要なことは,最も頻度の高い良性発作性頭位めまい症を確実に診断するために頭位変換眼振検査をルーチンに行うことであり,その際に使用する検査機器として赤外線CCDカメラによる眼振記録装置は,診療所では最低限の必需品である.

各論

ENGのとりかた読み方

伊藤 彰紀 , 柴﨑 修

pp.602-608

眼球の角膜・網膜電位の動きをとらえ,それを記録する装置が電気眼振計であり,実際に眼球運動を記録したデータを電気眼振図(ENG)と呼ぶ.このENGの利点は以下の3点である.①眼振を含めた各種の眼球運動の記録を残すことができる,②眼振を定量的に解析できる,③閉眼や暗所開眼状態の眼球運動の記録ができる.一方,ENGの欠点は,水平方向と垂直方向の眼球運動の記録は可能であるが,回旋性の眼球運動の記録ができないことである.ENGを用いて,①自発眼振,②注視眼振,③滑動性眼球運動,④衝動性眼球運動,⑤視運動性眼振,⑥温度刺激眼振の記録を主に行う.

VNGのとりかた読み方

今井 貴夫

pp.609-617

被検者の眼前にカメラを固定し,眼球運動を記録する装置をVNG(video-nystagmography)と呼ぶ.VNGは非侵襲的であるので,臨床検査として広く用いられている.近年はコンピュータ画像解析の手法を用いて記録された眼球運動画像を解析することにより,定量的な三次元眼球運動解析が可能となった.解析のアルゴリズムは一通りではなく,また,眼球運動を三次元的に表現する方法も一通りではない.本稿にてVNGのとりかた,解析のアルゴリズム,眼球運動の三次元的な表現法,VNGの読み方について解説する.

温度刺激検査(カロリックテスト)

中原 はるか

pp.619-624

温度刺激検査は,外耳からの体温と異なる温度刺激で内耳を刺激し,誘発される眼振を定量的に調べ内耳機能を評価するものである.左右の半規管機能を別に調べることができ,また,同じ検査の中で前庭性眼振の抑制機能であるvisual suppression testを行うことで中枢所見の一端を調べることもできる.

回転検査

肥塚 泉

pp.625-630

平衡機能検査は,患者が訴える“めまい”あるいは“平衡障害”を客観的かつ定量的に評価することにより診断をより確実なものとし,さらに治療後のめまい・平衡障害の程度を,客観的に評価するという重要な役割を担っている.回転検査は,頭部に加わった回転角加速度によって生じる半規管―眼反射のoutputとして生じる眼振(眼球運動)を記録・解析することによって,主に外側半規管の機能を評価する検査法である.刺激様式には過渡応答法と周波数応答法の2通りがある.現在は周波数応答法が主に用いられる.患側の決定に回転検査は不向きであるが,めまい・平衡障害患者の経過観察に有用である.回転検査で刺激を受けるのは主に外側半規管である.回転椅子に傾斜を加えて回転刺激を加える方法を偏垂直軸回転検査(OVAR)と呼ぶ.OVARの刺激様式には,定速度回転刺激と振子様回転刺激の2通りがある.OVARでは三半規管のみならず,耳石器の機能評価も可能である.

前庭誘発筋電位検査(VEMP)

瀬尾 徹

pp.631-636

前庭誘発筋電位(VEMP)は,強大な音響刺激により胸鎖乳突筋に生じる誘発電位で,潜時13msecおよび23msec前後の2相性の波形からなる.この反応は,球形囊由来と考えられ,球形囊機能検査として応用されてきた.これまで以下のような変法が報告されている.フロセミド負荷VEMP:内リンパ水腫が利尿剤によって軽快することを応用した検査で,内リンパ水腫の推定に用いられる.galvanicVEMP:電気刺激によるVEMPで,球形囊,下前庭神経の障害部位の推定に用いられる.骨導VEMP:骨導刺激を用いたVEMPで,伝音難聴の患者に施行できる.VEMPは,めまいの診断に有用なツールとなりうる.

重心動揺検査

伊藤 八次

pp.637-643

体平衡検査は身体の平衡機能を評価できる基本的な平衡機能検査である.その中で,重心動揺検査は,直立時の平衡維持機能を身体重心の動揺(移動)で評価する検査である.身体動揺を客観的かつ定量的に記録・評価できるので,平衡障害の有無と程度の把握,疾患の経過観察,治療効果判定に有用である.

乳幼児の平衡機能検査

竹腰 英樹

pp.645-650

胎児期または新生児期に平衡のシステムがすでに作動していると考えられる.生後の外刺激により平衡システムは成熟し,年齢的な変化が生じる.視覚と平衡覚との相互作用も年齢による変化が認められる.滑動性追跡眼球運動のような眼球運動負荷は10歳代まで発達する.小児の前庭機能の評価には,小児科医が行う姿勢反射を用いることが一般的である.今回,乳幼児の平衡機能発達と平衡機能検査について述べ,代表的な疾患について記す.

話題

自覚的視性垂直位検査

小川 恭生

pp.651-653

1.はじめに

 自覚的視性垂直位検査(subjective visual vertical;SVV)は,暗室で自覚的な垂直位を計測し,実際の垂直位(客観的な垂直位)とのずれを測定する検査である.めまい・平衡障害の機能検査としてのSVV測定の主たる目的は耳石器,前庭神経および中枢における重力認知経路の機能評価である.SVV測定は他の耳石器機能検査のような大きな器具を必要とせず,患者に苦痛を与えず,短時間でできる.自覚的視性水平位(subjective visual horizontal;SVH)を測定している施設もあるが,SVVとSVHに本質的な違いはないと考えられる.

頭振後眼振・振動刺激誘発眼振

大木 雅文

pp.655-658

1.はじめに

 めまいを伴う疾患は数多くあり,前庭機能障害が原因なのかその他に原因があるのかを見極めることが重要である.前庭機能障害がある場合,前庭動眼反射経路の異常により,眼振が出現することが多く,眼振の検出が重要である.一側の急性前庭障害により自発眼振が出現することが多いが,時間の経過とともに,前庭代償により自発眼振は消失していく.前庭代償後の自発眼振が消失した状態では,注視眼振・頭位眼振・頭位変換眼振検査により前庭機能障害を検出できない.潜在する前庭機能障害を検出する主な方法はENG(electronystagmography)による温度刺激検査(カロリックテスト)が一般的であるが,検査に時間がかかるため,通常,予約で行うことが多い.

 本稿では,通常の外来やベッドサイドで簡便に検査可能な頭振後眼振検査や振動刺激誘発眼振検査を紹介する.

歩行検査

工藤 香児 , 石川 和夫

pp.659-663

1.はじめに

 われわれは通常,特に意識することなく自由に直立2足歩行を行うことができるが,これは前庭平衡覚,視覚,体性感覚や中枢神経など様々な機構が適正に機能し,歩行運動を制御しているためである1,2).そしてこれらの機構に何らかの障害が生じると,歩行異常が現れる.

 従来から歩行検査は,動的体平衡機能検査のうち下肢の偏倚現象などを検出するための検査の一つとされ,直線上を歩かせて異常の有無を肉眼的に観察するというものが主体であった.しかし近年,歩行運動をより詳細に解析することによって,さらに微細な障害も検出しようという試みがなされてきている.

 本稿では,従来から行われてきた歩行検査(直線歩行検査)に加え,最近の歩行解析検査として,圧力センサーを用いた方法とモーションキャプチャーを用いた方法について概説する.

あいまにカプチーノ

日本最西端の薬学部

濱﨑 直孝

pp.618

 2006年に九州大学を定年になり,その年に郷里佐世保に設立された長崎国際大学・薬学部に呼んでいただき,郷里で,薬学生の教育と研究に携わっています.日本最西端のJR駅がある佐世保・ハウステンボス地域は,西海国立公園に含まれ九十九島などがあり,夕日と海がきれいな地域です.大学から車で5分のところにあるハウステンボス内に大学の宿舎があり一年中種々の花が咲き乱れ美しく素晴らしい環境を楽しみながら教育・研究の生活を送っています.

 長崎国際大学は,2000年に開学され,人間社会学部,健康管理学部,薬学部の3学部からなり,総学生数が約1,800人(そのうち,薬学生600人)の小さな大学ですが,教員と学生との距離が近く,きめの細かい学生教育と地域との交流を大学の基本方針として掲げている温かみを感ずる大学です.

INFORMATION

千里ライフサイエンスセミナー 〈炎症の慢性化と疾患〉 フリーアクセス

pp.630

日 時:平成24年7月27日(金) 10:00~17:00

場 所:千里ライフサイエンスセンタービル

第39回臨床検査技師研修会 フリーアクセス

pp.643

日 時:平成24年6月21日(木)~6月22日(金)

開催場所:

 自治医科大学地域医療情報研修センター

シリーズ-感染症 ガイドラインから見た診断と治療のポイント・2

小児肺炎

尾内 一信

pp.664-669

はじめに

 小児科領域における肺炎の抗菌薬療法の基本は,小児の特殊性を考慮しながら原因微生物を想定し,感受性のある抗菌薬を必要な期間投与することである.近年は原因微生物の耐性化が著しいため,最新の薬剤感受性動向を把握することが重要である.しかし,日々刻々と変化するこれらの情報を常にアップデートするのは,感染症専門医でもなかなか困難である.

 本稿では,適切に診療する方法として最も現実的な,定期的に改訂されるガイドラインに基づく治療について概説する.

シリーズ-標準化の国際動向,日本の動き・6

JSCCの動向

桑 克彦

pp.671-676

1.はじめに

 臨床化学分析に関する標準化の作業は,1957年から活動を開始した臨床化学分析談話会の中の夏期セミナーの場で行われたことがスタートになった.すなわち,1977年に開催された第4回夏期セミナーで,トランスアミナーゼ活性の測定について本格的な議論と検討が行われたことに端を発する.その後,標準化の活動組織は,1981年に分析部会として日本臨床化学研究会とともに日本臨床化学会は大同合併し,新しい日本臨床化学会(Japan Society of Clinical Chemistry;JSCC)の専門委員会へとバトンタッチされて今日にきている1)

 現在,JSCCは2009年から一般社団法人として代表理事のもとに,理事会,監事,年次学術集会,社員総会(評議員会)を連ね,この理事会の中に理事・常務理事,支部長,常置委員会を置いて学術活動を行っている1)

 臨床化学分析の標準化に関しては,常置委員会の中の国際交流委員会と学術連絡委員会が担当している.なかでも国内での標準化作業は,すべて学術連絡委員会の中に置かれた現在12ある専門委員会が担当している(図).

 当初の標準化作業テーマは,各専門委員会が決定していたが,1991年発行の文書からプロジェクト方式とし,学術連絡委員会での審議と理事会での決定を経る形式となった.

 本稿では,主として各種の専門委員会での作業内容についてまとめた.

シリーズ-検査値異常と薬剤・26

―投与薬剤の臨床検査値への影響―ホルモン・ビタミン・サイトカイン・免疫抑制剤

米田 孝司 , 片山 善章 , 澁谷 雪子

pp.677-686

1.下垂体ホルモン

 1) ソマトロピン(遺伝子組換え)

 遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤であるソマトロピンは,身体成長促進やIGF-Ⅰ(insulin-like growth factor-Ⅰ)増加作用により低身長症,Turner症,成長ホルモン分泌不全症に使用する.

検査の花道・6

Stay hungry…検査技師の活躍の場を拡げて

川島 徹

pp.688-689

はじめに

 私の前職は臨床検査技師であり,多くの女性技師に育てていただきました.現在事務職となっている私が,男性技師の視点から,また事務職の立場から,現場で働く女性技師のみなさまに対する要望や意見を述べさせていただけることに感謝いたします.

 近年の臨床検査技師の医療施設での立場は,診療報酬の相次ぐ値下げにより,人件費が病院運営に影響を与えるまでになっています.それに追随して,院内の臨床検査技師の削減,さらには臨床検査室の存続に対する問題にまで発展していると言えます.だからこそ,今,病院での臨床検査技師の意識改革が求められています.

研究

高麗紅参バチラス(Red Ginseng Bacillus)の水系およびアルコール抽出成分によるウシ副腎クロマフィン細胞内遊離カルシウムへの影響

庄野 正行 , 金 泰潤 , 小中 健 , 宮谷 綾 , 川添 和義 , 水口 和生

pp.690-692

 ウシ副腎クロマフィン細胞において,アセチルコリン(Ach)刺激によるカテコールアミン分泌には,細胞内遊離カルシウム濃度の上昇が必須である.今回,高麗紅参バチラス(RGB)とニンジン(日本薬局方ニンジン)由来のアルコール抽出物および水系抽出物を副腎クロマフィン細胞に添加し,Ach存在下,非存在下における細胞内カルシウム濃度の変化を観察した.その結果,Ach非存在下において,RGBおよびニンジンのアルコール抽出物は,その単独投与で細胞内カルシウム濃度を一過性に上昇させた.一方,RGBおよびニンジンの抽出物(アルコール抽出物あるいは水系抽出物)の添加はいずれも,Ach刺激による細胞内カルシウム濃度の上昇を消失させた.以上の結果より,RGBおよびニンジンの抽出物は,ウシ副腎クロマフィン細胞において,Ach依存性カテコールアミン分泌を抑制する可能性が示唆された.

書評 WHOをゆく フリーアクセス

堀田 力

pp.670

 読みはじめたら止まらなくなった.そこらの小説より,ずっと面白い.

 “医学”という言葉の人間味に魅かれて医学を志した筆者は,“地域医療”という言葉にひかれて自治医科大学に進み,離島勤務を経て,WHO(世界保健機関)に飛び込む.

あとがき フリーアクセス

佐藤 尚武

pp.694

 今年は,暦のうえで春を迎えても寒い日が続いていますが,本誌が出る頃には流石に暑くなっているでしょうか.

 さて,今月号では“めまい”を取り上げています.“めまい”は,漢字では「眩暈」と記します.眩は「くら(む)」「まばゆ(い)」,暈は「かさ」「ぼか(す)」と読み,眩はこれ自体で「めまい」という意味があります.一方,暈は「太陽や月の周辺に現れる淡い光の輪」という意味だそうです.そして広辞苑によれば,「眩暈」は,「めまい」と読む場合は「目がまわること.目がくらむこと」,「げんうん」と読む場合は「目がくらんで頭のふらふらする感じ」を意味するそうです.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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バックナンバー

64巻12号(2020年12月発行)

今月の特集1 血栓止血学のトピックス—求められる検査の原点と進化
今月の特集2 臨床検査とIoT

64巻11号(2020年11月発行)

今月の特集1 基準範囲と臨床判断値を考える
今月の特集2 パニック値報告 私はこう考える

64巻10号(2020年10月発行)

増刊号 がんゲノム医療用語事典

64巻9号(2020年9月発行)

今月の特集1 やっぱり大事なCRP
今月の特集2 どうする?精度管理

64巻8号(2020年8月発行)

今月の特集1 AI医療の現状と課題
今月の特集2 IgG4関連疾患の理解と検査からのアプローチ

64巻7号(2020年7月発行)

今月の特集1 骨髄不全症の病態と検査
今月の特集2 薬剤耐性カンジダを考える

64巻6号(2020年6月発行)

今月の特集 超音波検査報告書の書き方—良い例,悪い例

64巻5号(2020年5月発行)

今月の特集1 中性脂肪の何が問題なのか
今月の特集2 EBLM(evidence based laboratory medicine)の新展開

64巻4号(2020年4月発行)

増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見

64巻3号(2020年3月発行)

今月の特集1 Clostridioides difficile感染症—近年の話題
今月の特集2 質量分析を利用した臨床検査

64巻2号(2020年2月発行)

今月の特集1 検査でわかる二次性高血圧
今月の特集2 標準採血法アップデート

64巻1号(2020年1月発行)

今月の特集1 免疫チェックポイント阻害薬—押さえるべき特徴と注意点
今月の特集2 生理検査—この所見を見逃すな!

63巻12号(2019年12月発行)

今月の特集1 糖尿病関連検査の動向
今月の特集2 高血圧の臨床—生理検査を中心に

63巻11号(2019年11月発行)

今月の特集1 腎臓を測る
今月の特集2 大規模自然災害後の感染症対策

63巻10号(2019年10月発行)

増刊号 維持・継続まで見据えた—ISO15189取得サポートブック

63巻9号(2019年9月発行)

今月の特集1 健診・人間ドックで指摘される悩ましい検査異常
今月の特集2 現代の非結核性抗酸菌症

63巻8号(2019年8月発行)

今月の特集 知っておきたい がんゲノム医療用語集

63巻7号(2019年7月発行)

今月の特集1 造血器腫瘍の遺伝子異常
今月の特集2 COPDを知る

63巻6号(2019年6月発行)

今月の特集1 生理検査における医療安全
今月の特集2 薬剤耐性菌のアウトブレイク対応—アナタが変える危機管理

63巻5号(2019年5月発行)

今月の特集1 現在のHIV感染症と臨床検査
今月の特集2 症例から学ぶフローサイトメトリー検査の読み方

63巻4号(2019年4月発行)

増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ

63巻3号(2019年3月発行)

今月の特集 血管エコー検査 まれな症例は一度みると忘れない

63巻2号(2019年2月発行)

今月の特集1 てんかんup to date
今月の特集2 災害現場で活かす臨床検査—大規模災害時の経験から

63巻1号(2019年1月発行)

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62巻12号(2018年12月発行)

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今月の特集2 知っておきたい遺伝性不整脈

62巻8号(2018年8月発行)

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今月の特集2 不妊・不育症医療の最前線

62巻4号(2018年4月発行)

増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック

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今月の特集2 成人先天性心疾患

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60巻13号(2016年12月発行)

今月の特集1 認知症待ったなし!
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60巻12号(2016年11月発行)

今月の特集1 血液学検査を支える標準化
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増刊号 心電図が臨床につながる本。

60巻10号(2016年10月発行)

今月の特集1 血球貪食症候群を知る
今月の特集2 感染症の迅速診断—POCTの可能性を探る

60巻9号(2016年9月発行)

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今月の特集2 臨床検査領域における次世代データ解析—ビッグデータ解析を視野に入れて

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60巻7号(2016年7月発行)

今月の特集1 The SLE
今月の特集2 百日咳,いま知っておきたいこと

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今月の特集2 CKDの臨床検査と腎病理診断

60巻5号(2016年5月発行)

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今月の特集2 感度を磨く—検査性能の追求

60巻4号(2016年4月発行)

今月の特集1 血漿蛋白—その病態と検査
今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

今月の特集1 日常検査からみえる病態—心電図検査編
今月の特集2 smartに実践する検体採取

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今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

今月の特集1 見逃してはならない寄生虫疾患
今月の特集2 MDS/MPNを知ろう

59巻9号(2015年9月発行)

今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

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今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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