臨床検査56巻7号

2012年07月発行

研究

新規開発培養チャンバーを用いた物理的圧迫によるHUVEC細胞骨格への影響

著者： 庄野正行¹ 北村光夫² 小中健³ 川添和義³ 水口和生³

所属機関： ¹徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部総合研究支援センター先端医療研究部門 ²徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部生理機能学分野 ³徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部臨床薬剤学分野

ページ範囲：P.803 - P.805

　内皮細胞は機械的な圧迫刺激にさらされている．しかし，曝露が内皮細胞機能にどのような影響をもたらすか十分理解されていない．そこで，筆者らは正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を3日間培養し，機械的な圧迫状態にできる還流培養チャンバーを開発し，顕微鏡下で37℃，150mmHgの機械的圧迫状態を観察しながら，30分間培養した．その後，4％PFAで固定し，ファロイジンでアクチン染色を行い，その形態変化を蛍光顕微鏡で撮影後検討した．その結果，機械的圧迫状態で30分間処理したHUVEC細胞内アクチンは，対照に比べて太さと数が増加していることを示唆した．

参考文献

1) 荒井充：Angiotensin Ⅱと物理的圧の接着因子発現に及ぼす協調作用―培養メサンジウム細胞での検討．埼玉医大誌　31：1-12，2004

2) 宮坂恒太，木田泰之，小椋利彦：メカニカルストレスと転写制御．生化学　81：494-501，2009

3) Inoguchi H, Tanaka T, Maehara Y, et al : The effect of gradually graded shear stress on the morphological integrity of a huvec-seeded compliant small-diameter vascular graft. Biomaterials　28：486-495，2007

4) Nakadate H, Minamitani H, Aomura S : Combinations of hydrostatic pressure and shear stress influence morphology and adhesion molecules in cultured endothelial cells. Conf Proc IEEE Eng Med Biol Soc　2010：3812-3815，2010