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文献詳細

雑誌文献

臨床検査56巻8号

2012年08月発行

文献概要

今月の主題 多剤耐性菌の検査と臨床 各論

ペニシリン耐性肺炎球菌

著者: 佐藤吉壮1

所属機関: 1富士重工業健康保険組合総合太田記念病院小児科

ページ範囲:P.855 - P.860

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肺炎球菌は健常人においては上気道の常在菌であるが,小児においては中耳炎,副鼻腔炎を含む呼吸器感染症の主たる原因菌の1つである.また特に乳児以降の年齢においては,敗血症および化膿性髄膜炎の主要原因菌でもある.本邦においては,1990年代以降急速にペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)が増加しており,侵襲性感染症の難治化が問題となっている.現在,化膿性髄膜炎以外ではPRSPは大きな問題となってはいないが,今後不適切な抗菌薬の使用,濫用が高度耐性化につながることは間違いないところである.また,耐性菌に有効な抗菌薬の開発も待たれるが,現状ではさらなる耐性化を阻止することのほうが重要と考えられる.

参考文献

1) 紺野昌俊,生方公子(ペニシリン耐性肺炎球菌研究会):ペニシリン耐性肺炎球菌.協和企画通信,1997
2) Klein JO : Bacterial pneumonias. Textbook of Pediatric Infectious Diseases, 5th ed, WB Saunders, Philadelphia,pp299-310,2004
3) Dagan R, Greenberg D, Jacobs MR : Pneumococcal Infections. Textbook of Pediatric Infectious Diseases, 5th ed, WB Saunders, Philadelphia,pp1204-1258,2004
4) Wayne PA : Performance stansards for antimicrobial susceptibility testing, M100-S18, Clinical and Laboratory Standards Institute,2008
5) Sato Y, Ohishi T, Toyonaga Y, et al : Nationwide Survey of Drug-Resistant of S. pneumoniae and H. influenzae in Pediatric Field and Assessment of Background Factors in About 10 Years in Japan. 26th International Congress of Chemotherapy and Infection International Proceedings,pp165-166,2009
6) 砂川慶介,酒井文宜,平尾百合子,他:本邦における小児細菌性髄膜炎の動向(2007~2008).感染症誌 84:33-41,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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