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今月の主題 多剤耐性菌の検査と臨床 各論
マクロライド耐性マイコプラズマ
著者: 成田光生1
所属機関: 1札幌徳洲会病院小児科
ページ範囲:P.868 - P.872
文献購入ページに移動マイコプラズマ肺炎は静菌的薬剤が使われていた1990年以前には4年周期の大流行がみられたが,1991年に殺菌的薬剤であるクラリスロマイシンが市場に導入されて以後,周期性は消失した.その後2000年,唐突に薬剤耐性菌が出現したが,この疫学的事実は,2000年に何らかの耐性化要因が発生したことを示唆している.この点について,2000年にはアジスロマイシンが市場に導入されていたことが注目される.2011年には日本でマイコプラズマ肺炎の大流行がみられたが,耐性菌のほとんどない北ヨーロッパ諸国においても同様の“歴史的大流行”がみられており,この事実は,2011年の日本の流行が耐性化とは関係ないことを示唆している.
参考文献
1) 成田光生:主として市中感染で問題となる耐性菌.肺炎マイコプラズマ(基礎編).臨床検査 50:923-926,2006
2) 成田光生:主として市中感染で問題となる耐性菌.肺炎マイコプラズマ(臨床編).臨床検査 50:927-931,2006
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