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文献詳細

雑誌文献

臨床検査56巻8号

2012年08月発行

文献概要

今月の主題 多剤耐性菌の検査と臨床 話題

動物に対する抗菌剤の使用と薬剤耐性菌

著者: 関崎勉1

所属機関: 1東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全研究センター

ページ範囲:P.908 - P.911

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1.はじめに

 動物に対する抗菌性物質は,獣医療における医薬品だけでなく,家畜の生産性を高めるために使用する飼料添加物も含むため,動物関連業界では“抗菌薬”ではなく“抗菌剤”と呼ばれる.そのため,飼料添加物としての大量使用による多剤耐性菌の出現が,ヒトの医療現場での多剤耐性菌の出現に影響するのではないかといった懸念が議論されている.しかし,こうした状況を受けて,動物用抗菌剤の適正な使用に向けた様々な取組みが続けられているだけでなく,特に食肉となる動物の飼育に関しては,経済性を重視することから,不要な薬剤の使用は控える傾向になっており,一般に想像されているほどの乱用はない.

 本稿では,動物用抗菌剤の使用に対する理解を深めていただくため,法律の規制,耐性菌分離の現状,使用実態などについてまとめた.

参考文献

1) Kojima A, Ishii Y, Ishihara K, et al : Extended-spectrum-lactamase-producing Eshcrichia coli strains isolated from form animals from 1999 to 2002 : Report from the Japanese Veterinary Antimicrobial Monitoring Program. Antimicrob Agents Chemother 49:3533-3537,2005
2) 嶋田恵理子,宮本忠,網本昭輝,他:山口県における犬猫からのメチシリン耐性ブドウ球菌の検出状況と薬剤感受性.日獣会誌 65:283-288,2012
3) Anthony F, Acar J, Franklin A, et al : Antimicrobial resistance : responsible and prudent use of antimicrobial agent in veterinary medicine. Rev Sci Tech 20:829-839,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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