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異常値をひもとく・1【新連載】
支持体により電気泳動移動度が異なり,免疫グロブリン定量値にも乖離を認めた多発性骨髄腫
著者: 藤田清貴1 小林香保里2 亀子文子3
所属機関: 1群馬パース大学保健科学部検査技術学科 2佐久総合病院臨床検査科 3信州大学医学部保健学科検査技術科学専攻
ページ範囲:P.86 - P.92
文献購入ページに移動臨床検査で見いだされる異常蛋白質の代表的なものはmonoclonal蛋白(M蛋白)であり,そのクラスは血中濃度に比例しIgG型,IgA型,IgM型の順に多く,M蛋白の約85%は3つのいずれかのクラスに属する.それ以外では,Bence Jones蛋白(Bence Jones protein;BJP)型が約12%,IgD型が約3%,IgE型が0.1%以下の頻度と報告されている.特に,IgD型,IgE型M蛋白は見逃されやすい異常蛋白質であり注意が必要である.
また,日常検査では異常蛋白質と体液性成分との結合や相互作用,あるいは測定試薬(物質)との反応によって病態を反映しない異常値や,奇妙な電気泳動パターンに遭遇し判断に迷うことが少なくない.これらの現象は,一般に異常反応1),あるいはピットフォール(pitfall)と呼ばれているが,日頃の精度管理だけで発見できるものではなく,異常データを見いだし,的確に対処できなければ誤診につながる可能性が高い.
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