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エラーに学ぶ医療安全・1【新連載】
ヒューマンエラー発生の仕組みと医療システムの問題点
著者: 河野龍太郎12
所属機関: 1自治医科大学医学部医療安全学 2メディカルシミュレーションセンター
ページ範囲:P.93 - P.97
文献購入ページに移動私はもともと航空管制官で,業務中に航空機の誘導を誤り,危うく衝突させるところだったという苦い経験をした.そこからヒューマンエラーに目覚め,心理学などを専攻したのち転職,原子力発電プラント運転員のエラーの研究を経て,現在は医療安全を専門としている.
生理機能検査での患者取り違えや検体ラベルの貼り間違えなど,検査室で起こりうるエラーはたくさんある.また,臨床検査の結果は,診断や治療の方針を左右する重要な役割を担う.後ほど説明するが,医師は検査結果を元に患者の病態をマッピングするのであり,この検査値のミスは重大な医療事故を引き起こす可能性すらある.日本の医療事故は,正確な統計ではないものの年間23,000件と推定されている.どの程度の規模かというと,飛行機事故で例えるなら何と85%の旅客が乗ったジャンボ機が毎週国内で墜落しているほどの発生件数である!検査技師としての自分の身を守るためにも,安全を守る取り組みは重要である.
この連載では,安全管理への“考え方”をお伝えする.皆さん自身の力で,それぞれの問題に対処できるようになることを期待している.
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