文献詳細
文献概要
異常値をひもとく・10
酸性条件下で不溶化するIgG4-λ型M蛋白が引き起こした検査値への影響
著者: 青木義政1
所属機関: 1九州大学病院検査部
ページ範囲:P.1153 - P.1158
文献購入ページに移動はじめに
生化学的検査とりわけ比色分析では,マイナス値を呈したり,関連項目間での乖離や逆転を認めたりするなど,しばしば患者の病態を反映しない矛盾する測定値に遭遇することがある.特に血中にM蛋白が存在すると,その引き金に成りうることが知られており,M蛋白が測定試薬成分と反応し,不溶性の凝集,沈澱物を形成することで反応系に影響を与え,異常値の原因となる.
本稿では,M蛋白が酸性条件下で不溶化し,各種検査項目に影響を及ぼした症例1~3)の解析事例を紹介する.
生化学的検査とりわけ比色分析では,マイナス値を呈したり,関連項目間での乖離や逆転を認めたりするなど,しばしば患者の病態を反映しない矛盾する測定値に遭遇することがある.特に血中にM蛋白が存在すると,その引き金に成りうることが知られており,M蛋白が測定試薬成分と反応し,不溶性の凝集,沈澱物を形成することで反応系に影響を与え,異常値の原因となる.
本稿では,M蛋白が酸性条件下で不溶化し,各種検査項目に影響を及ぼした症例1~3)の解析事例を紹介する.
参考文献
1)青木義政,亀子光明,藤田清貴:アルブミン,直接ビリルビン,および血清鉄測定に影響を及ぼしたIgG4-λ型M-蛋白血症の1例.臨床病理 49:686-689,2001
2)青木義政:分析機器エラーと情報からの異常値の事例 血清と試薬との異常反応.検査と技術 33:470-472,2005
3)青木義政,亀子光明,藤田清貴,他:酸性条件下で凝集沈澱するIgG4-λ型M蛋白が引き起こしたアルブミン測定への影響.生物物理化学 51:231-235,2007
4)馬場英敏,菅啓子,野口志郎:試薬緩衝液イオン濃度の影響による血糖測定異常例.臨床化学 25:35-38,1996
5)渡邊弘子,近藤光,石川仁子,他:クレアチニン測定におけるM蛋白の影響.日本臨床検査自動化学会会誌 27:670-674,2002
6)Berth M, Delanghe J:Protein precipitation as a possible important pitfall in the clinical chemistry analysis of blood samples containing monoclonal immunoglobulins: 2 case reports and a review of the literature. Acta Clin Belg 59:263-273,2004
7)森山隆則,重村雅彦,松野一彦:稀なM蛋白血症と検査値に及ぼす影響.日本検査血液学会雑誌 6:89-94,2005
8)Dalal BI, Brigden ML:Factitious biochemical measurements resulting from hematologic conditions. Am J Clin Pathol 131:195-204,2009
掲載誌情報