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表紙の裏話
“がん”の形態学を分子の言葉で説明する
著者: 里見介史1 野口雅之1
所属機関: 1筑波大学医学医療系診断病理学
ページ範囲:P.1068 - P.1068
文献購入ページに移動 “がん”はなぜ治らないのだろうか? わが国では年間30万人以上,男性の4人に1人,女性の6人に1人はがんで亡くなる現状に,“がん”という言葉のもつ重みは誰もが知るところである.ただし,がんは臓器ごと,種類ごとに大きく特徴が異なり,これら多種多様ながんの最終診断は,現代でも光学顕微鏡を用いた病理医と臨床検査技師の“眼”による診断である.当研究室では,形態学こそががんの定義と捉え,現代までに蓄積された形態学的知見と分子生物学的基盤の融合を目指している.
さて,教科書的にがん細胞とは,遺伝子に傷がつくことで,自律的な無制限増殖能を獲得した細胞と説明されているが,がん細胞の立場からは自らの生存と増殖に都合のよいように遺伝子を“改変”し,さらにはがん微小環境と呼ばれる特殊な宿主環境の構築や宿主応答の変化も巻き込むものと考えられる.
さて,教科書的にがん細胞とは,遺伝子に傷がつくことで,自律的な無制限増殖能を獲得した細胞と説明されているが,がん細胞の立場からは自らの生存と増殖に都合のよいように遺伝子を“改変”し,さらにはがん微小環境と呼ばれる特殊な宿主環境の構築や宿主応答の変化も巻き込むものと考えられる.
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