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文献詳細

雑誌文献

臨床検査57巻11号

2013年10月発行

文献概要

特集 はじめよう,検査説明 一般検査

2 蓄尿方法を教えてください

著者: 木村秀樹1

所属機関: 1福井大学医学部附属病院検査部・腎臓内科

ページ範囲:P.1192 - P.1193

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1.蓄尿の意義と適応

 24時間蓄尿は,腎機能〔尿蛋白,クレアチニンクリアランス(Ccr)〕,食事摂取量,電解質・内分泌異常などの評価に有用である.1日尿蛋白量による腎疾患の評価では,ネフローゼ症候群は3.5g/日以上と定義され,IgA腎症では0.5g/日以上で予後不良,全身性エリテマトーデスでは0.5g/日以上で腎障害の存在が推定される.Ccrの測定は個別の糸球体濾過量の評価に用いる.腎疾患,高血圧患者では,食塩・蛋白摂取量を把握することが管理上有用であり,蓄尿のNaと尿素窒素から以下の式で推算する.1日NaCl摂取量(g/日)=1日尿中Na排泄量(mEq/L)×尿量(L)÷17;1日摂取蛋白量(g/日)=[1日尿中尿素窒素排泄量(g/日)+0.031×体重(kg)]×6.25(Maroniの計算式).急性腎障害が疑われる患者では1日尿量が重要である.また,血清KやNa値の異常例や褐色細胞腫,クッシング症候群などの内分泌疾患では,電解質や各種ホルモンの1日尿中排泄量が鑑別診断に必要となる.このように,蓄尿は臨床上有用である一方で,蓄尿器を介する院内感染の原因ともなり,必要度の低い連続蓄尿は避けるべきである.

参考文献

1)糟野健司,木村秀樹:尿検体の種類・採尿・保存.綜合臨牀 58:1198-1202,2009
2)小川真:蓄尿検査の意義と注意点.検査と技術 39:48-51,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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