icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査57巻11号

2013年10月発行

文献概要

特集 はじめよう,検査説明 血液

8 心当たりがないのに血小板が減少しているのはなぜですか?

著者: 金子誠1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学

ページ範囲:P.1240 - P.1241

文献購入ページに移動
1.血小板減少に出会ったら

 しばしば遭遇する血小板減少症1)には数多くの原因がある.一般的には,末梢血血小板数が10万/μLを下回った場合,血小板減少症と診断される〔特発性血小板減少性紫斑病(ITP)診断基準,厚生省研究班(1990年)〕.検査したら軽度血小板が減少していた(もちろん症状もなく)という症例の頻度が高いが,このような場合にはじっくり考えながら対応したとしても問題は生じない.

 その一方で,“wet purpura”などの粘膜出血をはじめとする出血傾向の出現,初診で1~2万/μLなど著減した血小板数の場合には,緊急性は非常に高く,重篤な出血性合併症を発症させないよう素早い対応(医師への連絡/報告・鑑別診断・出血に対する予防)を心がけるようにする.また,造血器腫瘍など血液疾患,播種性血管内凝固(DIC)や血栓性微小血管障害症(TMA)などの重篤な疾患に合併している血小板減少症は見落としてはならない.

参考文献

1)金子誠:血小板減少症の鑑別診断.臨床病理レビュー 142:92-98,2009
2)藤村欣吾:薬剤性血小板減少症.治療 89:3241-3248,2007
3)大森司,西井清行,萩原淳,他:市販漢方薬“3寿位”による血小板減少症.日本血栓止血学会誌 15:480,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?