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文献詳細

雑誌文献

臨床検査57巻11号

2013年10月発行

文献概要

特集 はじめよう,検査説明 化学

10 深夜に採取した血糖検査用検体の保存方法を教えてください

著者: 菅野光俊1 新井慎平1

所属機関: 1信州大学医学部附属病院臨床検査部

ページ範囲:P.1274 - P.1275

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1.血糖検査用採血管の仕様

 血糖検査用採血管には抗凝固剤としてEDTA-2NaとヘパリンNaが使用され,解糖阻止剤としてフッ化ナトリウム(NaF)が添加されているものが一般的に用いられている.EDTA-2Naは血液凝固反応に必要なCaイオンをキレート除去し,ヘパリンNaはトロンビンの作用を阻害することで血液が凝固することを抑える.一方,NaFは解糖系酵素のうちエノラーゼの働きを阻害して,採血管内での解糖系進行に伴うグルコース値の低下を防止する作用がある.

 この他,ヘパリンNaの代わりにクエン酸とクエン酸Naが添加された採血管も市販されている.クエン酸とクエン酸Naは,血中pHを下げ解糖系酵素全体の作用を低下させることができる.また,D-マンノース(DM)はグルコースの競合阻害剤となることから有効な解糖阻止剤として検討されている.

参考文献

1)白井秀明,桑克彦,飯塚儀明,他:血糖測定用全血試料の前処理方法と試料の取扱いに関する指針(Ver.1.6:2013-2-5).臨床化学 42:177-190,2013
2)飯塚儀明,根岸知恵,及川仁,他:採血管保冷容器「キューブクーラーⓇ」の性能試験と有用性.Medical Technology 39:922-925,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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