icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査57巻11号

2013年10月発行

文献概要

特集 はじめよう,検査説明 化学

15 酵素結合性免疫グロブリンについて教えてください

著者: 藤田清貴1

所属機関: 1群馬パース大学保健科学部検査技術学科

ページ範囲:P.1284 - P.1285

文献購入ページに移動
1.酵素結合性免疫グロブリンとは

 酵素活性異常が認められた場合,病態およびその原因を探るためアイソザイム分析が行われる.その際,病態を反映しない活性異常を示す例では,時としてある分画の欠損,過剰分画(extra band)の出現,移動度の異なる分画などの異常パターンが観察される.頻度的に最も高いのは酵素結合性免疫グロブリン(enzyme linked immunoglobulins)である.酵素結合性免疫グロブリンでは酵素蛋白の側に異常があるのではなく,免疫グロブリンと結合して電気泳動移動度が変化し,あたかも酵素異常のように観察されることから,酵素アノマリー1)とも呼ばれている.しかし,電気泳動分析で,ザイモグラム上観察される異常分画を全て含め酵素アノマリーと呼ばれることが多く,遺伝的変異酵素などとの鑑別が必要となる.

参考文献

1)藤田清貴:酵素アノマリーとは.検査と技術 36:1369-1372,2008
2)Wilding P, Cooke WT, Nicholson GI:Globulin-bound amylase. A cause of persistently elevated levels in serum. Ann Inter Med 60:1053-1059,1964
3)藤田清貴:LDアノマリー.臨床検査で遭遇する異常蛋白質,医歯薬出版,pp66-103,2010
4)Fujita K:Immunochemical study of immunoglobulins bound to lactate dehydrogenase. Clin Chim Acta 264:163-176,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?