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特集 はじめよう,検査説明 感染症
12 Clostridium difficile感染症の迅速検査で糞便中の毒素は陰性でしたが,培養でC. difficileが検出され,菌株からはC. difficileの毒素が検出されました.この場合の評価はどのように考えたらよいですか?
著者: 金山明子1 小林寅歹1
所属機関: 1東邦大学看護学部感染制御学
ページ範囲:P.1350 - P.1351
文献購入ページに移動臨床症状を確認し,下痢,発熱,悪心,嘔吐などがある場合は,C. difficile associated diarrhea(CDAD)として対応すべきである.下痢は軽度なものから血液を伴う重度なものまであることが報告されている.イレウスの患者以外についてはリスク因子(高齢者,長期間の入院,抗菌薬投与中など)と関連が低く,症状がない場合は無症候保菌者と考え,治療は必要ないとされている.
糞便の迅速検査で毒素(トキシン)が陰性となる要因にトキシン検出法の問題が挙げられる.C. difficileの病原因子としてトキシンA,トキシンBが重要だが,C. difficileには両トキシン陽性株,トキシンA陰性B陽性株,両トキシン陰性株があり,前者2つがCDADに関与する.トキシン検出法のgold standardは細胞毒性試験であるが,検査室で日常検査として行うことは現実的ではない.そのため数社よりEIA法によりトキシンを検出する検査キットが発売されているものの,検出感度はおしなべて高くないため,今回の糞便検査では偽陰性が生じた可能性がある.
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