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文献詳細

雑誌文献

臨床検査57巻13号

2013年12月発行

文献概要

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理

東京都衛生検査所における外部精度管理の現状と課題

著者: 新井冨生1 落合和彦2 三栗谷久敏3 大石向江3 佐々木由紀子3 草野友子3 小林千種3 佐藤かな子3 住友眞佐美3 高木康4

所属機関: 1東京都健康長寿医療センター病理診断科 2東京慈恵会医科大学葛飾医療センター産婦人科 3東京都健康安全研究センター精度管理室 4昭和大学医学部卒後臨床研修センター

ページ範囲:P.1567 - P.1574

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■東京都は1982年から東京都衛生検査所精度管理検討専門委員会を設置し,都内に登録されている衛生検査所の精度管理に取り組んでいる.

■都内に登録されている衛生検査所で,病理組織検査は年間約94万件(約70%が消化管の検体),細胞診は年間約257万件(約90%は子宮頸部,子宮内膜,喀痰の検体)が取り扱われている.検体数はここ数年増加傾向にある.

■東京都の精度管理事業の成果は,検体の取り扱い,標本作製,報告様式などで改善がみられるとともに,検査所の労働環境の改善,ダブルチェック体制の構築の推進,事務処理のデジタル化,人員充足率の改善などの形で現れている.

■病理組織検査における課題は,精度管理内容がアンケート調査に偏り,実際の標本の精度管理に至っていない点である.さらに,新しく登場した分子標的薬の適応を決める免疫染色検査の精度管理にも対応していないことなどが挙げられる.

■細胞診に関しては,細胞診専門医と細胞検査士の人的不足は年々緩和されているが,パートによる夜間業務に依存している施設も見受けられ,細胞検査士と専門医の十分なコミュニケーションがとれる体制作りが課題である.

参考文献

1)東京都健康安全研究センター精度管理室(編):平成24年度第31回東京都衛生検査所精度管理事業報告書,東京都福祉保健局医療政策部,2013
2)三栗谷久敏,橋本秀樹,佐々木由紀子,他:東京都衛生検査所病理組織検査における精度管理の現状と問題点 平成18~21年度自記式アンケートによる調査結果.東京都健康安全研究センター研究年報 62:285-289,2011
3)谷山清己,井内康輝,黒田誠:我が国における病理医適正配置について その1:現状把握.病理と臨床 24:877-884,2006
4)水口國雄:組織診断の精度管理.病理と臨床 29:334-339,2011
5)市川智士,江夏一彰,山根聖子,他:都立病院における病理検査染色サーベイの取り組み─PAS染色,Papanicolaou染色,PAM染色の検討.臨床病理 57:1090-1103,2009
6)柴原純二,深山正久:病理診断業務のワークフローと精度管理.病理と臨床 29:328-333,2011
7)畑中豊,西尾和人,松野吉宏:コンパニオン診断と病理.病理と臨床 30:1300-1308,2012
8)増田しのぶ,熊木伸枝,津田均:HER2検査の精度管理.病理と臨床 29:353-359,2011
9)廣川満良,亀井敏昭:細胞診の精度管理─日本臨床細胞学会における活動を中心に.病理と臨床 29:340-345,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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