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文献詳細

雑誌文献

臨床検査57巻13号

2013年12月発行

文献概要

今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

リンパ形質細胞性リンパ腫

著者: 常名政弘1 増田亜希子1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.1607 - P.1610

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■リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)は,低悪性度のB細胞腫瘍で,臨床経過は比較的緩やかである.典型例では単クローン性IgM血症を伴うWaldenströmマクログロブリン血症があり,一部M蛋白を伴わないものもある.

■細胞の特徴は,小~中型の成熟リンパ球であり,時に形質細胞に分化を示すこともあるが,その他の低悪性度B細胞リンパ腫との細胞形態での鑑別は困難である.

■一方,日常臨床検査,特に血算測定時において,寒冷凝集素症(CAD)にしばしば遭遇する.基礎疾患には,悪性リンパ腫,感染症,自己免疫性疾患などがあり,特にLPLが合併することが多いとされる.

■日常臨床検査において,血算測定時に寒冷凝集を認め,さらにIgM-κ型M蛋白がみられた場合には,その原因として悪性リンパ腫,なかでもLPLを念頭に置いて検査を行う必要があると考える.

参考文献

1)佐藤康晴,吉野正:リンパ形質細胞性リンパ腫Lymphoplasmacytic lymphoma.WHO血液腫瘍分類~WHO分類2008をうまく活用するために~(直江知樹,朝長万左男編),医学ジャーナル社,pp285-287,2010
2)青木定夫:リンパ形質細胞性リンパ腫.WHO分類第4版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学(押味和夫監修),中外医学社,pp210-214,2009
3)Berentsen S, Ulvestad E, Langholm R, et al:Primary chronic cold agglutinin disease : a population based clinical study of 86 patients. Haematologica 91:460-466,2006
4)日本検査血液学会(編):スタンダード検査血液学 第2版,医歯薬出版,p241,2008
5)正木彩子,稲垣宏:形質細胞分化を示す低悪性度B細胞リンパ腫の病理診断.血液内科 65:1-9,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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