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異常値をひもとく・12
免疫学的測定法による腫瘍マーカー検査で考慮すべき偽陽性反応とその解析法
著者: 新井智子1 塚田敏彦2
所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科 2東京電子専門学校臨床検査学科
ページ範囲:P.1649 - P.1655
文献購入ページに移動腫瘍マーカーの多くは,正常細胞に存在する成分が癌化に伴う発現亢進によって量的変化をきたしたものを測定対象としているため,健常人にもカットオフ値以下のレベルで抗原が存在する.したがって,微量に存在する抗原の代謝が何らかの原因で遅延した場合や,良性疾患などで細胞増殖を認めるような場合には,悪性腫瘍を発症していなくても血中濃度の上昇をきたす.さらに,臨床検査で測定される腫瘍マーカーは,ほとんどが免疫学的方法で測定されているため,使用している抗体の種類や認識するエピトープによっては,交差反応や非特異反応によって目的抗原以外の物質が測り込まれてしまうことも少なくない.このような腫瘍マーカー測定における偽陽性は,同一検体を複数の測定試薬で測定した場合に測定値の乖離として発見されたり,担当医からの臨床所見と合致しないといった問い合わせなどで発見されることが多い.
本稿では,筆者らが経験した腫瘍マーカー検査における偽陽性について紹介し,その解析法および偽陽性の回避法を示しながら,可能な範囲で偽陽性のメカニズムをひもといてみたい.
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