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文献詳細

雑誌文献

臨床検査57巻2号

2013年02月発行

文献概要

異常値をひもとく・2

CKの著しい上昇と運動後の褐色尿の症例

著者: 前川真人1

所属機関: 1浜松医科大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.214 - P.219

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はじめに

 血清酵素の異常データは,多くは主治医が予測する病態によって生じるものであるが,ときどき予想外の原因によって生じる.そのようなときには臨床検査の担当者の出番である.

 測定系の問題であれば臨床側では全く想定できないため,正しく測定できているかの確認が必要である.患者側の要因による場合,先天性,後天性(獲得性)の2つに大別して考える.先天性の場合,家系検索まで必要となることもある.後天性の場合,血中での修飾による原因が多い.

 何が原因なのかを突き止める,解決の足がかりとして分離分析技術は非常に有用である.ただ大前提として,不可解なデータであると気づくことが大切で,そうした力は日頃から典型的なデータを見ることによって養われる.関連項目との関係をしっかり理解して,提示症例を解析してほしい.

参考文献

1)Kanno T, Sudo K, Takeuchi I, et al:Hereditary deficiency of lactate dehydrogenase M-subunit. Clin Chim Acta 108:267-276,1980
2)Nishimura Y, Honda N, Ohyama K, et al:Lactate dehydrogenase A subunit deficiency. Isozymes Curr Top Biol Med Res 11:51-64,1983
3)石川仁子:心筋由来,骨格筋由来の鑑別にCK/AST比は有効か.Medical Technology 30:1021-1022,2002
4)Kanno T, Sudo K, Maekawa M, et al:Lactate dehydrogenase M-subunit deficiency: a new type of hereditary exertional myopathy. Clin Chim Acta 173:89-98,1988
5)前川真人:乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)サブユニット欠損症.日本臨床 新領域別症候群シリーズ No.19 先天代謝異常症候群(第2版)上,pp87-91,2012
6)Maekawa M, Sudo K, Kanno T, et al:Molecular characterization of genetic mutation in human lactate dehydrogenase-A (M) deficiency. Biochem Biophys Res Commun 168:677-682,1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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