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雑誌詳細

文献概要

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書評 誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた 重篤な疾患を見極める!

著者: 山中克郎1

所属機関: 1藤田保衛大・総合救急内科

ページ範囲:P.247 - P.247

 風邪の診断をするときによく思い出すのは,田坂佳千先生の「かぜ症候群における医師の存在意義は,他疾患の鑑別・除外である」という教えである.ありふれた疾患の水面下には,目では見えない大きく深い世界が隠れている.内科全般にわたる広範な医学知識と適切な問診や身体所見から目に見えない部分を感じとることが必要だ.風邪のふりをした,とんでもない重症疾患があるのだ.

 風邪には咳,咽頭痛,鼻汁の3つの症状がある.この中の一つの症状しかなければ風邪の診断は怪しい.咳+発熱だけなら肺炎,咽頭痛+発熱だけなら急性喉頭蓋炎,鼻汁+発熱だけなら副鼻腔炎かもしれない.本書では典型的な風邪の症状について,いくつかの症状パターンに分けてわかりやすく解説されている.漢方処方が不得意な私にとっては,咳には「麦門冬湯」,鼻水には「小青竜湯」,咽頭痛には「桔梗湯」との提案はありがたい(p11).診療の幅が広がりそうだ.漢方はことさら強い主張はないのに,中国3000年の歴史から凛としてロマンチックな雰囲気を醸し出してくれる.

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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