文献詳細
文献概要
表紙の裏話
生命の左右の謎を追い求めて
著者: 阿部真典1 黒田玲子1
所属機関: 1東京理科大学総合研究機構
ページ範囲:P.358 - P.358
文献購入ページに移動 動物にとって左右とは何だろう.私たちは,見かけは左右対称だが,中身をみると心臓は左にあり消化管のねじれる向きも決まっている.昔から研究者たちはこの形態の左右決定メカニズムに強い興味を抱いてきた.近年では,無脊椎動物から脊椎動物まで左右軸の形成過程で同じような遺伝子が働くことが明らかになり,共通のメカニズムの解明が期待されている.
筆者らが研究材料としているLymnaea stagnalis(ヨーロッパモノアラガイ)は淡水産巻き貝であり,まさに殻が螺旋状に巻いている.大部分は右巻きなのだが,まれに天然の左巻き個体が存在する.しかも左右の個体は殻だけでなく内臓の位置・向きに至るまで全てが鏡像対称であり,このような全内臓逆位の正常体が天然に存在する点は,他の生物にない非常にユニークな特徴である.古典的な交配実験から,左右の巻型はたった1つの遺伝子で決まることが証明されており,筆者らはこの左右決定遺伝子を同定しようとしている.
筆者らが研究材料としているLymnaea stagnalis(ヨーロッパモノアラガイ)は淡水産巻き貝であり,まさに殻が螺旋状に巻いている.大部分は右巻きなのだが,まれに天然の左巻き個体が存在する.しかも左右の個体は殻だけでなく内臓の位置・向きに至るまで全てが鏡像対称であり,このような全内臓逆位の正常体が天然に存在する点は,他の生物にない非常にユニークな特徴である.古典的な交配実験から,左右の巻型はたった1つの遺伝子で決まることが証明されており,筆者らはこの左右決定遺伝子を同定しようとしている.
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