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文献概要

次代に残したい用手法検査・1【新連載】

電解質炎光光度法

著者: 関口光夫1

所属機関: 1千葉科学大学危機管理学部医療危機管理学科

ページ範囲:P.805 - P.810

はじめに

 血清電解質の代表的な元素はナトリウム(Na),カリウム(K),クロール(Cl)である.これらの元素は生体中ではイオンとして存在する.生体内では浸透圧,酸-塩基平衡の維持,神経・筋肉の興奮,伝達などに重要な働きをしている.

 炎光光度法(flame photometry/flame atomic emission spectroscopy)で測定可能な元素は比較的励起エネルギーの低いアルカリ金属〔リチウム(Li),Na,K,セシウム(Cs)〕とアルカリ土類金属〔カルシウム(Ca)〕の一部である.血清中では主にNa,Kが対象となる.Liの血清中濃度は5~6μmol/L程度とされており,その生理的あるいは病態的意義を調べるために測定されることはない.しかし,Li製剤投与時の薬物血中濃度モニタリング(therapeutic drug monitoring;TDM)として血清中Liが測定されることがある.その治療域濃度は0.6~1.2mmol/Lとされており,その濃度が2mmol/L以上になると中毒が出現するといわれている1)

 本稿では主に血清Na,Kの測定を中心に炎光光度法について記述する.

参考文献

1)渡辺昌祐,江原崇:リチウムの体液濃度測定による監視 (1)血中濃度について.臨床精神医学 6:97-104,1977
2)清宮正徳,野村文夫:採血手技が検査値に与える影響について,日本臨床検査自動化学会会誌 37:191-195,2012
3)関口光夫:炎光光度法.実践臨床検査機器マニュアル(桑克彦編),サイエンスフォーラム,pp190-200,1985
4)関口光夫:臨床検査Q&A 電解質測定における抗凝固剤の影響について.Medical Technology 20:183-184,1992
5)河合忠,屋形稔,伊藤喜久(編):異常値の出るメカニズム(第5版),医学書院,pp205-212,2012
6)内田俊也:水電解質異常,日本腎臓学会誌 44:18-28,2002

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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