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文献詳細

雑誌文献

臨床検査57巻8号

2013年08月発行

文献概要

今月の特集2 輸血関連副作用

輸血による感染症

著者: 紀野修一1

所属機関: 1旭川医科大学病院臨床検査・輸血部

ページ範囲:P.884 - P.892

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■東大分院輸血梅毒事件,ライシャワー事件(輸血後肝炎),凝固因子製剤によるHIV感染により,輸血感染症対策は進歩した.

■地球規模の気候変化,生活環境の変化,高速移動手段の発達に伴い,ウエストナイルウイルス,デングウイルス,チクングニアウイルスなどが輸血感染症の原因となる可能性がある.

■輸血前検体保管は輸血による感染か否かを確認するうえで非常に重要である.また,輸血前検査が行われていない感染症,輸入感染症,未知の病原体に対する輸血感染症などの原因究明にも有用である.

■輸血による感染症伝播リスクを低減するためには,輸血用血液製剤の安全性を向上させるとともに,血液製剤の使用現場における対策も重要である.今後,患者中心の輸血医療(PBM)の普及が望まれる.

参考文献

1)厚生労働省医薬食品局血液対策課:輸血療法の実施に関する指針(改定版),2013
2)厚生労働省医薬食品局血液対策課:血液事業報告書平成24年版,2012(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/2s/index.html)
3)日本赤十字社輸血情報(0107-65,0107-66,0206-73,0310-77,0409-84,0509-90,0610-102,0707-108,0807-113,0908-120,1010-125,1108-129,1209-133)
4)Maniatis A, Hardy J-F, Van der Linden P:Alternative to Blood Transfusion in Transfusion Medicine 2nd ed., Wiley-Blackwell,2010
5)日本赤十字社輸血情報 輸血情報輸血用血液製剤との関連性が高いと考えられた感染症症例(0707-108,0807-113,0908-120,1010-125,1108-129,1209-133)
6)水上拓郎,浜口功,山口一成:輸血血液における新興・再興感染症対策.臨床検査 52:215-219,2008
7)厚生労働省医薬食品局血液対策課:血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン(改定版)2012(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/dl/120319-01.pdf)
8)厚生労働省医薬食品局血液対策課:輸血療法の実施に関する指針(改定版)2005(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/5tekisei3a.html)
9)紀野修一:受血者を輸血感染症から守る医療機関の体制─輸血前検体保存と輸血前後感染症検査.医学のあゆみ 235:24-31,2010
10)紀野修一,友田豊,伊藤喜久,他:旭川医科大学病院における輸血前・輸血後感染症検査の実施状況.日本輸血細胞治療学会誌 55:21-28,2009
11)紀野修一:Patient Blood Management(PBM)とは.医学のあゆみ 243:273-278,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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