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文献詳細

雑誌文献

臨床検査58巻7号

2014年07月発行

文献概要

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない

カリウムの読み方

著者: 木村秀樹1

所属機関: 1福井大学医学部附属病院 検査部・腎臓内科

ページ範囲:P.793 - P.800

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●体内の総カリウム(K)の98%は細胞内に分布し,1~2%が細胞外液に分布している.主としてNa/K ATPポンプにより,細胞内のK濃度は140~150mEq/L程度に,細胞外液では4mEq/L程度に調整されている.

●Kの1日摂取量は40~120mEqで,半分以上が尿から排泄されている.血清K値は,摂取量,排泄量,Kの細胞内外シフトの総合的なバランスで決定される.

●インスリン,アルカローシス,β2カテコラミン,甲状腺ホルモンは,Kの細胞内シフトを誘導して血清K値を低下させる作用をもつ.各因子の低下・阻害で細胞外シフトが生じ,K値は上昇する.

●低K血症の原因は,尿中K排泄が20mEq/日以上では腎性喪失を,20mEq/日未満なら腎外性喪失を考える.さらに,酸塩基平衡とアルドステロン(Ald)作用の程度で分類する.

●高K血症の原因は,K負荷の有無,腎機能(腎不全:GFR 20mL/mL以下か否か),血清Aldの程度で鑑別する.

参考文献

1)柴垣有吾:より理解を深める!体液電解質異常と輸液 改訂第3版(深川雅史監修),中外医学社,pp88-119,2007
2)武藤重明,草野英二:カリウム代謝の考え方.日腎会誌 50:84-90,2008
3)細萱茂美,多田正人,山崎浩和,他:緊急検査値の分布に基づいたcritical value設定の試み.日臨検自動化会誌 26:166-169,2001
4)Muto S, Asano Y, Okazaki H, et al:Renal potassium wasting in distal renal tubular acidosis:role of aldosterone. Intern Med 31:1047-1051,1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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