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文献詳細

雑誌文献

臨床検査58巻9号

2014年09月発行

文献概要

異常値をひもとく・20

好中球増多症(骨髄腫による)

著者: 中村小織1

所属機関: 1伊勢赤十字病院 医療技術部臨床検査課

ページ範囲:P.1101 - P.1106

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はじめに

 末梢血液を測定して白血球数(white blood cell count:WBC)が一般的に10,000/μL以上増加を示した場合,白血球増加症といわれる.主に好中球増加を認める場合が多いが,リンパ球や好酸球の場合もあるため,白血球の分画を確認する必要がある.好中球増加症は細菌性感染,炎症,組織傷害や造血器疾患を含めた悪性腫瘍,副腎皮質ステロイド薬投与などの薬物,ストレスなどさまざまな要因によって引き起こされる.慢性的な好中球増多を示す造血器腫瘍は,主に慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia:CML),慢性好中球性白血病(chronic neutrophilic leukemia:CNL)が挙げられる.また重症感染症では,幼若顆粒球の出現(左方移動)を伴うことがある,特に反応性にWBCが50,000/μL以上に増加した場合を類白血病反応といい,重症感染症や腫瘍の骨髄転移,顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulating factor:G-CSF)産生腫瘍などでみられる1,2).本稿では,白血球増加を伴った症例3例を提示し,患者背景を踏まえつつ,データ解析と合わせて検査結果を読み取る.

参考文献

1)押味和夫:白血球増加症.カラーテキスト血液病学,中外医学社,pp296-334,2007
2)池田康夫,押味和夫:類白血病反応.標準血液病学,医学書院,pp78-81,2000
3)草場信秀,吉田博,大久保文彦,他:慢性好中球性白血病類似の臨床所見を呈したG-CSF産生骨髄腫.臨血 45:228-232,2004
4)瀬川正孝,仙田一貴,草島義徳:G-CSF産生肺癌切除例の臨床病理学的検討.日呼吸会誌 21:544-549,2007
5)Hata H, Matsuzaki H, Tanaka K, et al:Ectopic production of salivary-type amylase by a IgA-lambda-type multiple myeloma. Cancer 62:1511-1515,1988
6)Matsuzaki H, Uchiba M, Yoshimura K, et al:Hyperammonemia in multiple myeloma. Acta Haematol 84:130-134,1990
7)Kaito K, Otsubo H, Takahara S, et al:Carcinoembryonic antigen-producing multiple myeloma detected by a transcription-reverse transcription concerted reaction system. Int J Hematol 85:128-131,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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