文献詳細
文献概要
今月の表紙
Malpighi小体(血管鋳型,糸球体)
著者: 島田達生12
所属機関: 1大分大学 2大分医学技術専門学校
ページ範囲:P.942 - P.942
文献購入ページに移動 腎臓の断面をのぞくと,皮質に赤い斑点が見える.これが腎小体で,Malpighi小体ともいわれ,0.2mm,肉眼で見えるぎりぎりの大きさ.なぜ腎小体をMalpighi小体というのであろうか? 歴史をひも解いてみよう.1628年,ウイリアム・ハーヴェー(William Harvey)が,血液循環説を唱えたことによって,人体の仕組みの解明が急速に進んだ.しかし,血液が動脈から静脈に流れていく経路は全く謎であった.1661年,イタリアのマルチェロ・マルピギー(Marcello Malpighi)は,虫眼鏡を改良した顕微鏡で肺を観察し,動脈が毛細血管を介して静脈に注ぎ込むことを発見した.さらに,1666年,腎動脈から黒い液体を注入する実験から,腎小体は毛細血管の糸玉からなることを発見した.現在,パラフィン切片の光学顕微鏡観察において,糸球体が毛細血管の糸玉からなることは実証できない.
掲載誌情報