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文献詳細

雑誌文献

臨床検査59巻10号

2015年10月発行

文献概要

遺伝医療ってなに?・10

答えのない質問

著者: 櫻井晃洋1

所属機関: 1札幌医科大学医学部遺伝医学

ページ範囲:P.1028 - P.1029

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今回のタイトルはCharles Ivesの名曲の話ではない.もっとお金のからんだ,現実的な話題である.

 遺伝性腫瘍や致死性不整脈など,一定の年齢以降に発症する単一遺伝子疾患では,家系内の誰かの診断が確定すると,血縁者が同じ遺伝子変異を有しているかどうかを確認する“発症前遺伝学的検査(発症前診断)”が可能になる.言うまでもなく,こうした検査の目的は,将来起こりうる健康上の問題を早期に予測し,現時点で最良の医療を適切なタイミングで提供することによって,将来の健康障害を最小にすることにある.ただし,こうした検査は被検者自身,家族にさまざまな心理的・社会的影響を及ぼす可能性があるため,安易に行うべきものではなく,日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」でも,検査前の適切な遺伝カウンセリングの実施を求めている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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