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今月の特集2 乳癌病理診断の進歩
乳管・小葉内増殖性病変の病理診断
著者: 堀井理絵1
所属機関: 1がん研究会有明病院 病理部
ページ範囲:P.444 - P.449
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●乳管上皮細胞由来のductal lesionには,UDH,FEA,異型乳管過形成(ADH),非浸潤性乳管癌(DCIS),浸潤性乳管癌(IDC)が含まれる.
●FEA,ADH,low grade DCIS,low grade IDCは遺伝子発現状況が共通しているため,一連の多段階発癌モデルに属していると考えられており,その発癌モデルは,low grade-like molecular pathwayと呼ばれる.
●手術標本で診断されたFEAやADHは,low grade DCISの早期の組織像あるいは前駆病変と考えてよい.
●針生検標本でFEAやADHと診断された病変には,真のFEA,ADHに加えて,良性の閉塞性腺症やUDH,悪性のDCIS,さらには,IDCの乳管内癌巣が含まれる.したがって,針生検標本でFEAやADHと診断された場合,予測されるその病変の最終診断に基づいて,再針生検,切開生検,経過観察から適切な取り扱い方法を選択すべきである.
●乳管上皮細胞由来のductal lesionには,UDH,FEA,異型乳管過形成(ADH),非浸潤性乳管癌(DCIS),浸潤性乳管癌(IDC)が含まれる.
●FEA,ADH,low grade DCIS,low grade IDCは遺伝子発現状況が共通しているため,一連の多段階発癌モデルに属していると考えられており,その発癌モデルは,low grade-like molecular pathwayと呼ばれる.
●手術標本で診断されたFEAやADHは,low grade DCISの早期の組織像あるいは前駆病変と考えてよい.
●針生検標本でFEAやADHと診断された病変には,真のFEA,ADHに加えて,良性の閉塞性腺症やUDH,悪性のDCIS,さらには,IDCの乳管内癌巣が含まれる.したがって,針生検標本でFEAやADHと診断された場合,予測されるその病変の最終診断に基づいて,再針生検,切開生検,経過観察から適切な取り扱い方法を選択すべきである.
参考文献
1)Bombonati A, Sgroi DC:The molecular pathology of breast cancer progression. J Pathol 223:307-317,2011
2)日本乳癌学会:病理編.臨床・病理 乳癌取扱い規約 第17版,金原出版,pp22-78,2012
3)Schnitt SJ, Lakhani SR, Ellis IO, et al:Intraductal proliferative lesions. WHO Classification of Tumours of the Breast (Lakhani SR, Ellis IO, Schnitt SJ, et al. ed), WHO PRESS, Geneva, pp81-94, 2012
4)Schnitt SJ:The diagnosis and management of pre-invasive breast disease: flat epithelial atypia--classification, pathologic features and clinical significance. Breast Cancer Res 5:263-268,2003
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