臨床検査59巻7号

2015年07月発行

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー

CA19-9—検査編

著者： 石黒厚至¹

所属機関： ¹株式会社LSIメディエンス　メディカルソリューション推進部

ページ範囲：P.632 - P.637

Point

●CA19-9は，モノクローナル抗体作製技術によって初めて開発された糖鎖抗原腫瘍マーカーである．

●CA19-9測定値には著しい試薬間差が認められ，データ互換性に乏しい．

●CA19-9には認証された標準物質がなく，検査の標準化は困難と考えられている．

●CA19-9の血中基礎値はLewis血液型糖鎖合成酵素の影響を受けるため，生得的に個体差がある．

参考文献

1）吉岡真理，大倉久直，菅野康吉：ヒト血清中のCA19-9の存在様式．第6回腫瘍マーカー研究会記録　2：49-51，1986

2）日本衛生検査所協会：平成25年度（第39回）臨床検査精度管理調査結果報告書，pp97-107，2014

3）日本医師会：平成25年度（第47回）臨床検査精度管理調査結果報告書，pp134-153，2014

4）新井智子，塚田敏彦，中山年正：肝疾患検体にみられるCA19-9 EIA法偽陽性とその分子量に関する検討．臨化　22：238-243，1993

5）阿部正樹，久保敬信，平井徳幸，他：CA19-9測定値の市販4試薬間での比較について．医学検査　44：1040-1045，1995

6）海原和己，猪野由美子，中山耕之助，他：良性疾患における血清CA19-9高値例の解析．臨病理58（suppl.）：131，2010

7）渡邊亮子，児玉登美子，千葉真一郎，他：IMxによるCA19-9の測定および臨床的意義．医学検査　41：740-747，1992

8）林国樹，星野忠，矢内充，他：測定法の異なる3法におけるCA19-9測定値キット間差解消の試み．臨病理　52：500-505，2004

9）産業技術総合研究所：平成18年度成果報告　知的基盤創成・利用促進研究開発事業　臨床検査用標準物質の研究開発，pp554-557，2007

10）Narimatsu H, Iwasaki H, Nakayama F, et al：Lewis and secretor gene dosages affect CA19-9 and DU-PAN-2 serum levels in normal individuals and colorectal cancer patients. Cancer Res　58：512-518，1998

11）前川真人：遺伝子多型と悪性腫瘍．臨病理　49：172-175，2001