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医学常識
輸血に必要な血液型抗原と抗体(2)
著者: 竹内直子1 保木本幸子1 大野公子1
所属機関: 1虎の門病院輸血部
ページ範囲:P.321 - P.323
文献購入ページに移動LevineとStetsonは1939年に,最近分娩したばかりの婦人の血液から,新しい抗体を発見した。これは後に抗Rho(D)と命名されたものである。彼女がその夫の血液を輸血されることにより溶血性の副作用をおこしたことから,この抗体は,父親から遺伝して胎児の赤血球の中に存在する抗原によって産生されるものであると推定された。
この抗体は,後にRhesus monkeyの赤血球をウサギに注射することによって作られたRh抗体と特異性において同一のものであることがわかり,この2つの抗体(妊産婦,Rhesus monkey)によって赤血球の食塩水浮遊液と反応させると,供血者の血液の85%の陽性群と15%の陰性群に分けらカた。そしてこの抗血清と陽性反応を呈するものはRh(+),また,陰性反応のものはRh(-)と名づけられた。ひき続いて,同様の抗体がなんらかの症状のある子供を分娩した婦人の血液から発見され,時としては,表1に見られるように,Rh(-)の婦人に発生した抗体のあるものは無差別に選ばれた検査血液に対して異なった特異性を示すものもあることがわかった。Levineその他はM.S.血清(anti-rh’またはanti-C)に対して陰性である血液と強く反応する抗体をRh陽性の血清中に発見し,anti-Rhの反対という意味で,anti-Hrと名づけた。
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