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好酸球数と好塩基球数の算定法
著者: 田多井吉之介1 長田泰公1 小川庄吉1
所属機関: 1国立公衆衛生院生理衛生学部
ページ範囲:P.515 - P.520
文献購入ページに移動好酸球も好塩基球も白血球中の百分率が小さく,従来は寄生虫症,アレルギー,ある種の白血病などの際の好酸球増多症以外では,あまり大きな臨床的意義をもっていなかった。しかしここ10年来,それまでの塗抹標本に代わって好酸球と好塩基球の血算盤内算定法が使われるようになってから,臨床面での診断的価値が急に増して来た。ことに,副腎機能と好酸球数との関連が明らかになってから,好酸球数算定の機会がふえた。また最近は,甲状腺機能と好塩基球との関係が次第にわかってきたので,好塩基球の算定が必要な場合も多くなるとおもわれる。血液塗抹標本による好酸球と好塩基球の間接的な算定法は,血算盤による直接的な算定法に比べてはるかに精度が落ちるから,ここではいっさい触れないことにする。
血算盤による直接算定の手技は,白血球数をしらべる場合と同じで,メランジュールを用いて血液を染色液で希釈し,これを血算盤に流しこんで数をかぞえるのであって,好酸球や好塩球を染めわける特殊な染色液を用いさえすればよい。ただし,両細胞とも数が少ないので,血液の希釈を今までの10倍にかえて4.5倍にすることのできる新型メランジュールや,算定室の容積をビュルケル型やノイバウエル型の約5枚分を血算盤1枚におさめた新型が工夫されている。なお好酸球数や好塩基球の推計学的取り扱いについては,拙著「好酸球の動力学」を参照されたい1)。
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