臨床検査60巻1号

2016年01月発行

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査

臨床検査と未病—健康社会へのポテンシャル

著者： 櫻林郁之介¹ 吉田博² 福生吉裕³ 津田聡一郎⁴ 森嶋祥之⁵ 横田佳子 丸山篤芳⁶ 高木洋子⁷ 高山清香⁶ 花田浩之⁸ 加瀬澤信彦⁹

所属機関： ¹医療法人一成会さいたま記念病院 ²東京慈恵会医科大学附属柏病院 ³一般財団法人博慈会老人病研究所 ⁴株式会社アムル上尾中央臨床検査研究所 ⁵近畿大学医学部附属病院 ⁶松阪地区医師会臨床検査センター ⁷臨床検査技師会北九州地区 ⁸大阪大学医学部附属病院 ⁹医療法人社団紫苑会富士いきいき病院・健康サポートセンター

ページ範囲：P.36 - P.42

Point

●未病の定義と意義を述べる．社会との関係において，セルフメディケーションとして未病臨床検査が行われている実例を挙げ，それぞれの特徴と功罪について考察する．

●最近，注目されている神奈川県行政の未病の取り組みについて概説する．

●社会とのコミュニティーのあり方，重要さについて未病検査の役割を述べる．また，未病を捉えるための検査データの活用法について例示する．

●未来像としての未病臨床検査の実践活動に向けて，日本未病システム学会の姿勢と学会制度を述べる．また，“未病専門指導師”の資格について紹介する．

参考文献

1）福生吉裕：現代における未病医学とは．次世代の医学・医療がわかる未病医学　入門（日本未病システム学会編），金芳堂，pp2-7，2006

2）福生吉裕：未病モデルとしての動脈硬化　そのとらえ方よりみた展望．動脈硬化予防　3：7-12，2004

3）日本動脈硬化学会（編）：動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版，2012

4）日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会（編）：高血圧治療ガイドライン2014，ライフ・サイエンス出版，2014

5）吉田博，多田紀夫：検体測定室の今後の期待〜臨床検査専門医の立場から〜，薬事日報　2015，in press

6）厚生労働省医政局：検体測定室に関するガイドライン（http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000098574.pdf）

7）厚生労働省医政局：平成26年度全国医政関係主管課長会議資料，2015年3月10日，p46

8）生命科学インスティテュート，健康ライフコンパス：おしらせ，2015年5月11日

9）厚生労働省医政局地域医療計画課：事務連絡別添，2015年8月15日

10）丸山篤芳，村田まゆ，川端絵美子，他：サイエンスコミュニケーションと未病．日未病システム会誌　20：60-63，2014

11）神奈川県保健福祉局：資料2「未病を治すかながわ宣言」の考え方，ヘルスケア・ニューフロンティア推進局（http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/681817.pdf）

12）T. パーソンズ：社会体系論（佐藤勉訳），青木書店，pp442-458，1974

13）Freidson E：Client control and medical practice. Am J Sociol　65：374-382，1960

14）Henkin RI, Bradley DF：Hypogeusia corrected by Ni++ and Zn++. Life Sci II　9：701-709，1970

15）加瀬澤信彦：人間ドックにおける検査の評価─人間ドックからみた未病．次世代の医学・医療がわかる 未病医学 入門（日本未病システム学会編），金芳堂，pp120-125，2006

16）日本未病システム学会：ホームページ（http://www.j-mibyou.or.jp）