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文献詳細

雑誌文献

臨床検査60巻2号

2016年02月発行

文献概要

検査レポート作成指南・6

呼吸機能検査(肺拡散能力)編

著者: 大久保輝男1

所属機関: 1埼玉県立循環器・呼吸器病センター検査技術部

ページ範囲:P.224 - P.233

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 呼吸機能検査は,他の多くの検査(X線,CTなど)と異なり,患者の最大限の努力が必要な検査である.ちょうど100m走と同じように,スタートからゴールまで全力で行わなければならない.最大限の努力で行った場合とそうでない場合とでは,得られる結果に大きな差が出てしまう.つまり,この検査において最も大事なことは,われわれ検者が上手に誘導して,体も心も病んでいる患者から,できる限り最大限の努力を引き出すことである.そのためには,その患者の病状や精神状態,理解度を把握しながら,その患者にあったベストの誘導を行う必要がある.

 また,得られた測定結果の妥当性を正確に判断することも重要である.どんなに患者から十分な努力を引き出すことができても,得られた測定結果を正しく判断できなくては,より正確な結果を報告することはできない.そして,得られた結果に不十分な点がある場合には,その患者が理解できるような適切な説明をしてから再測定を行っていく.最後に正確な採択を行い,最良の結果を報告する.

 しかし,患者の状態によっては十分な努力ができない場合(例えば,咳がひどい場合や吸気時胸痛など)がある.そのときには,正確な測定結果が得られなかった理由をコメントする.また,患者の状態によって測定条件を変えた場合にもコメント欄に記入する必要がある.

参考文献

1)日本呼吸器学会肺生理専門委員会(編):呼吸機能検査ガイドライン─スパイロメトリー,フローボリューム曲線,肺拡散能力,メディカルレビュー社,2004
2)日本臨床衛生検査技師会(編):呼吸機能検査の実際,日本臨床衛生検査技師会,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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