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検査レポート作成指南・9
筋電図検査編
著者: 山内孝治1
所属機関: 1医療法人大真会大隈病院臨床検査科
ページ範囲:P.554 - P.571
文献購入ページに移動活動電位の評価は,導出された電位波形の潜時(latency),振幅(amplitude),持続時間(duration)を基本とした計測値とその形状が中心となる.ただし,病的要因以外にもいくつかの要因(皮膚温,導出電極の位置,導出電極間距離,刺激強度,刺激の波及,接触抵抗,フィルタ設定など)によっても電位波形はさまざまに変化する.そのなかには検査担当者(検者)のみが知り得る情報もあることから,本来,診療に携わった医師が自ら検査することが最もよいことになる.しかし,全ての医師が神経伝導検査に関する知識や技術面において精通しているわけではなく,さらに日々の業務を考慮すると時間的にも難しいのが現実である.そのため検者には,高度な検査技術とその評価に必要な解剖学,電気生理学,臨床工学,病理学的な知識に基づいて,電気生理学的な妥当性あるいは矛盾を速やかに判断する能力が要求される.そして,障害の検出,分布状態の評価,病態の鑑別,予後の推定に必要な客観的情報,臨床症状からは推測不能であった所見,検者のみが知り得た情報などが記載された診療に活用できる信頼性の高い報告書(レポート)を作成することが必要となる.
以上から,神経伝導検査におけるレポートは,検者が依頼医師の検査目的に応じて,電気生理学的理論と高度な検査技術に裏付けされた検査結果から導き出される,正確かつ診療に有用な情報を伝えることを目的として作成することがポイントとなる.
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