文献詳細
文献概要
今月の特集1 睡眠障害と臨床検査
睡眠障害と小児
著者: 杉山剛1
所属機関: 1山梨大学医学部小児科学教室
ページ範囲:P.956 - P.961
文献購入ページに移動Point
●小児の睡眠障害も成人と同様に多岐にわたるが,同一疾患であっても症状や病態は成人とは異なる点が多い.
●小児の睡眠障害において臨床現場で遭遇する機会が多いのは睡眠呼吸障害(SDB)である.アデノイド増殖・口蓋扁桃肥大(ATH)が原因であることが多い.
●ATHが原因の閉塞性SDBに対する治療の第一選択はアデノイド切除・口蓋扁桃摘出術(AT)である.臨床現場では,その適応決定のためにポリソムノグラフィー(PSG)が行われることが多い.
●わが国では,脳波測定を含むフルスタディのPSG(フルPSG)を小児,特に未就学児に実施することが可能な施設は少ないため,全例にフルPSGを行うことは現実的ではない.
●フルPSGが実施できない施設では,患者の年齢や状況に応じて携帯型検査装置や終夜酸素飽和度測定などの簡易検査を適宜,選択することが重要である.
●小児の睡眠障害も成人と同様に多岐にわたるが,同一疾患であっても症状や病態は成人とは異なる点が多い.
●小児の睡眠障害において臨床現場で遭遇する機会が多いのは睡眠呼吸障害(SDB)である.アデノイド増殖・口蓋扁桃肥大(ATH)が原因であることが多い.
●ATHが原因の閉塞性SDBに対する治療の第一選択はアデノイド切除・口蓋扁桃摘出術(AT)である.臨床現場では,その適応決定のためにポリソムノグラフィー(PSG)が行われることが多い.
●わが国では,脳波測定を含むフルスタディのPSG(フルPSG)を小児,特に未就学児に実施することが可能な施設は少ないため,全例にフルPSGを行うことは現実的ではない.
●フルPSGが実施できない施設では,患者の年齢や状況に応じて携帯型検査装置や終夜酸素飽和度測定などの簡易検査を適宜,選択することが重要である.
参考文献
1)Roffwarg HP, Muzio JN, Dement WC:Ontogenetic development of the human sleep-dream cycle. Science 152:604-619,1966
2)Munezawa T, Kaneita Y, Osaki Y, et al:The association between use of mobile phones after lights out and sleep disturbances among Japanese adolescents: a nationwide cross-sectional survey. Sleep 34:1013-1020,2011
3)American Academy of Sleep Medicine (AASM):Obstructive Sleep Apnea, Pediatric. In: International Classification of Sleep Disorders, 3rd ed, AASM, Darien IL, pp63-68, 2014
4)米国睡眠医学会:小児期の行動性不眠症.睡眠障害国際分類 第2版—診断とコードの手引(日本睡眠学会診断分類委員会訳),医学書院,pp21-24,2010
5)福水道郎:小児期の不眠障害,概日リズム睡眠・覚醒相障害をとりまく睡眠関連病態の現状・問題点とその治療.日小児会誌 119:1594-1603,2015
6)犬塚幹,山田克彦:概日リズム睡眠障害の小児に対する高照度光療法.日小児会誌 120:728-735,2016
7)Marcus CL, Brooks LJ, Draper KA, et al:Diagnosis and management of childhood obstructive sleep apnea syndrome. Pediatrics 130:714-755,2012
8)杉山剛:医科から考える呼吸が(小児の)全身に与える影響.日歯評論 76:103-111,2016
9)新谷朋子:小児の睡眠呼吸障害の治療 アデノイド・口蓋扁桃摘出術.小児の睡眠呼吸障害マニュアル(宮崎総一郎,中田誠一,千葉伸太郎編),全日本病院出版会,pp175-180,2012
10)米国睡眠医学会:小児での呼吸ルール.AASMによる睡眠および随伴イベントの判定マニュアル(日本睡眠学会監訳),ライフサイエンス,pp48-49,2010
11)勝盛宏,阪井裕一,草川功,他:MRI検査を行う小児患者の鎮静管理に関する実態調査.日小児会誌 117:1167-1171,2013
12)鈴木雅明:睡眠時無呼吸症候群.臨床検査のガイドライン JSLM2012(日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会編),pp192-195,2012(http://www.jslm.org/books/guideline/guideline12.html)
13)杉山剛,斉藤圭一,杉田完爾:パルスオキシメーターを用いた年少児睡眠呼吸障害(SDB)スクリーニング法の検討.日小児呼吸器会誌 23:140-146,2013
14)鈴木雅明,杉本晃,一ノ瀬篤司,他:小児OSAの取り扱い 術前PSG・術後モニタリングの是非.小児耳鼻 36:235-239,2015
掲載誌情報