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文献詳細

雑誌文献

臨床検査60巻9号

2016年09月発行

文献概要

今月の特集2 臨床検査領域における次世代データ解析—ビッグデータ解析を視野に入れて

臨床検査領域におけるビッグデータの意味と,その活用に必要な統計学的視点

著者: 市原清志1

所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科保健学専攻生体情報検査学

ページ範囲:P.986 - P.995

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Point

●ビッグデータは人によって,また,利用目的によって定義が異なる.科学的な利用にはソースデータの構成や記録形式が明確でなければならない.

●次世代シーケンサーの情報はパラメータ数が巨大なだけで,ビッグデータとはいいがたい.探索的な病態解析に利用するには,大規模演算能とデータ数の確保が課題となる.

●医療分野では,施設内病院情報システム(HIS)に加え,全国規模の診療報酬請求や包括医療費支払い制度のデータベース(DB)が医療サービスの効率化・最適化に利用されている.

●臨床検査領域ではソースデータは限定されるが,検査情報システムを活用した業務支援,診療支援は可能である.本稿では,そのアプローチと解析事例を紹介する.

参考文献

1)上田宏生:次世代シーケンサを用いたゲノム情報解析のためのITインフラ,2015(https://www.intec.co.jp/company/itj/itj15/contents/itj15_82-87.pdf)
2)中山健夫:「医療ビッグデータ時代」の幕開け.週刊医学界新聞 3107,2015(http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03107_02)
3)石川ベンジャミン光一:日医総研シンポジウム抄録集 医療ビッグデータの研究利用 その現状と課題,2015(http://dl.med.or.jp/dl-med/jma/nichii/jmari_sympo/jmari26_k02.pdf)
4)Tolan NV, Parnas ML, Baudhuin LM, et al:“Big Data” in Laboratory Medicine. Clin Chem 61:1433-1440,2015
5)市原清志:潜在基準値法による日常検査情報の活用.臨検 49:1471-1485,2005
6)Yamashita T, Ichihara K, Miyamoto A:A novel weighted cumulative delta-check method for highly sensitive detection of specimen mix-up in the clinical laboratory. Clin Chem Lab Med 51:781-789,2013
7)佐藤和孝,市原清志,黒川幸徳:抗生剤感受性データから病原菌のサブタイプを解析するアルゴリズムの開発とその実用性の分析.臨病理 49:263-272,2001
8)片岡浩巳:臨床検査におけるデータマイニング.検と技 42:1348-1352,2014
9)Kawano R, Ichihara K, Wada T:Derivation of level-specific reference change values (RCV) from a health screening database and optimization of their thresholds based on clinical utility. Clin Chem Lab Med, in press
10)Yamakado M, Ichihara K, Matsumoto Y, et al:Derivation of gender and age-specific reference intervals from fully normal Japanese individuals and the implications for health screening. Clin Chim Acta 447:105-114,2015
11)爲近美栄,市原清志,岩谷良則,他:新データマイニング手法を用いた健常成人の性差・加齢変化の解明.臨検 54:1719-1728,2010
12)田中敏章,山下敦,市原清志:潜在基準値抽出法による小児臨床検査基準範囲の設定.日小児会誌 112:1117-1132,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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