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文献詳細

雑誌文献

臨床検査60巻9号

2016年09月発行

文献概要

検査レポート作成指南・13

アイソザイム編

著者: 米川修1 山本晶2

所属機関: 1総合病院聖隷浜松病院臨床検査科 2総合病院聖隷浜松病院臨床検査部

ページ範囲:P.1012 - P.1019

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 血中酵素の多くは一部の脂質や血液凝固線溶系の酵素と異なり,細胞内で本来の生理的機能を果たしている.可溶性分画(LDなど)やミトコンドリアに存在する酵素(m-CKなど)は細胞の破壊の程度に応じて血中に湧出・出現し,膜結合酵素(ALPなど),分泌酵素(アミラーゼなど)は産生過剰を反映し増加する1)

 酵素は臓器ごとにそれぞれ分布が異なり,特定の血中半減期を有していることから,血中の酵素の種類・活性を評価すれば,損傷臓器の特定,損傷程度,あるいは損傷時期の推定も可能となる.さらに,アイソザイムを有する酵素では,アイソザイムパターンを解析することで損傷臓器を特定でき,損傷の程度や時期をより正確に推定することが可能となる1)

 酵素活性増加時にはまず,由来を推定するためにLDであればLD/AST比,CKであればCK/AST比とCK-MB,ALPであればγ-GTとの比較,アミラーゼであればP-AMYを利用する1)

 これらの情報だけでは診断のつかない症例に対しては,アイソザイムを依頼することで由来がより明らかになるとともに,先天性異常(酵素欠損)や後天性の異常,免疫グロブリンとの結合による見掛け上の高値,あるいは,低値を検出することができる.病態の本質に迫れることに加え,データ修飾に気付くことで誤った診断,対応を防ぐことにもなる2).しかし,最近は多くの施設でアイソザイムは外注化されているため,結果報告までに時間を要してしまうことが問題である.

参考文献

1)前川真人:酵素検査のデータ判読のポイント.検査診断学への展望—臨床検査指針:測定とデータ判読のポイント(第62回日本医学検査学会記念誌編集委員会監修,野村努,正田孝明,横田浩充,他編),南江堂,pp127-135,2013
2)藤田清貴:異型酵素.臨病理レビュー 116:7-15,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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