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文献詳細

雑誌文献

臨床検査61巻1号

2017年01月発行

文献概要

検査説明Q&A・24

蛋白電気泳動像ではMピークを認めているのに,免疫電気泳動法ではM蛋白を認めません.どのようなことが考えられますか?

著者: 井本真由美1

所属機関: 1近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.86 - P.91

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■はじめに

 血清蛋白電気泳動法(血清蛋白分画)は,蛋白質の荷電によって泳動位置が異なることを利用して蛋白質を分画し,そのパターンを観察することで,血清蛋白の量的質的異常をスクリーニングするものである.特に,多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症などの悪性疾患に出現するM蛋白検出に関して必須な検査である.M蛋白が疑われるピークが検出されたら,免疫電気泳動法(immunoelectrophoresis:IEP)や免疫固定電気泳動法(immunofixation electrophoresis:IFE)を実施し,M蛋白をその種別と併せて確定する.

 本稿のテーマは“蛋白分画ではMピークを認めるのに,IEPでM蛋白を認められないときは何を考えるか”である.それらの原因が,真のM蛋白が存在するのにIEPで検出不可能なのか,偽M蛋白を示す他の原因があるのかで幾通りか推定される.本稿では,筆者の経験と文献的情報から,上記のテーマについて述べる.

参考文献

1)井本真由美,上硲俊法:電気泳動法を利用した血漿タンパクの分析 免疫グロブリンの異常と解析方法について.近畿大医誌 34:153-159,2009
2)高砂直樹,油吉男,井本真由美:支持体により易動度が異なるslow IgG-λ型M蛋白の物理化学的特性について.医学検査 48:971-975,1999
3)出村紀子,松本文枝,奈良信雄:セルロース・アセテート膜電気泳動と免疫電気泳動においてM-蛋白の出現位置が乖離した症例におけるM-蛋白の解析.医学検査 48:30-34,1999
4)杉村智恵子,藤田清貴,草薙睦子,他:α1位に易動度をもつIgA2m(1)-κ型M-蛋白の1例.生物理化学 41:207-210,1997
5)梅原久範:日本からの発信 新たな疾患概念,IgG4関連疾患(IgG4-related disease).日内会誌 99:2257-2265,2010
6)井本真由美,渡辺勝紀,辰巳陽一,他:IgG4関連疾患に認めた総IgGとIgGサブクラス測定値(IgG1〜IgG4総和)との乖離についての考察.臨病理 60:1053-1057,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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